「大どろぼうの家」展 備忘録
1-緑の回廊

ホッツェンプロッツ
インク、水彩絵具、紙
制作年不明
ドイツの作家オトフリート・プロイスラーの児童文学『大どろぼうホッツェンプロッツ』に登場。もじゃもじゃの黒ひげとかぎ鼻が特徴。拳銃、サーベル、短刀のほか、コショウピストルも使いこなし、粗暴だが知恵者でもある。
Illustration by F. J. Tripp © Thienemann-Esslinger GmbH, Germany
この絵は著作権者の許可を得て、フランツ・ヨーゼフ・トリップが描いたオリジナルの絵をもとに伊野孝行が描きました。

石川五右衛門
墨、木板
安土桃山時代、都市部に出没した盗賊の首長。その出生や生涯については諸説あるものの、歌舞伎や浄瑠璃では権力者のみから奪う義賊として描かれることが多い。最期は京都の三条河原で釜煎りとなり、一族もろとも極刑に処された。

すてきな三にんぐみ
アクリル絵具、キャンバス
制作年不明
トミーアンゲラーの絵本『すてきな三にんぐみ』に登場する黒マントと黒い帽子姿の三人組盗賊。夜になるとお金持ちの馬車を襲い宝を奪う。孤児の少女ティファニーちゃんと出会ったことで、使い道を考えたこともなかった宝を子供たちのために使うようになる。
Copyright © Tomi Ungerer Estate and Diogenes Verlag AG, Zurich

鼠小僧次郎吉
水彩絵具、紙
制作年不明
江戸時代後期に実在した盗賊・仲村次郎吉の通称。大名屋敷や武家屋敷を狙い、生涯で百軒以上の屋敷から3万両以上を盗んだとされる。粋な振る舞いや恩赦的な説得、盗んだ金を貧民に分け与えた逸話から「江戸の義賊」として民衆に親しまれた。1831年に捕まり、江戸・鈴ヶ森で獄門(さらし首)の刑に処された。没後は歌舞伎や民謡などで語り継がれる伝説的人物。

カメラ男 『NO MORE映画泥棒』
アクリル絵具、キャンバス
制作年不明
映画館で上映される映画盗撮防止法の啓発CMでお馴染みの、『NO MORE 映画泥棒』に登場する一人。頭部のカメラを用いて映画を違法に撮影・録音しようとするキャラクター。劇場内で映画泥棒(映画の撮影や録音)を行おうとすると、「パトランプ男」が登場し取り押さえられる。どろぼうという立場でありながら、コミカルな動きで観客に盗撮防止を呼びかけている。
©「映画館に行こう!」実行委員会
劇場内での映画の撮影・録音は犯罪です。

弁天小僧菊之助
デジタルペインティング(墨、Adobe Photoshop)を紙に出力
河竹黙阿弥による歌舞伎演目『青砥稿花紅彩画』の登場人物で、盗賊「白浪五人男」のひとり。かつては江ノ島の弁天様で坊主の見習いをしていたが、美しい容姿を生かして女を装い、女の声音で男を騙し、ゆすりたかりを働く。

ビンセンツォ・ペルーシャ
油絵具、キャンバス
制作年不明
1911年、ルーヴル美術館からレオナルド・ダ・ヴィンチによる名画「モナ・リザ」を盗んだ。ルーヴルの元従業員だったペルージャは閉館日に絵を持ち去り、以後2年間自宅に隠匿。イタリア人の彼は、愛国心ゆえの犯行を主張した。

ロビン・フッド
水彩絵具、紙
制作年不明
中世イングランドの伝説上の人物。各地に残る伝承を、作家ハワード・パイルが小説にまとめた。自由と冒険を愛するロビンは、仲間とともにシャーウッドの森に暮らす。
弓の腕は超一級で、金持ちから奪っては貧しい者に分け与えた。

ラプトル
アクリル絵具、キャンバス
制作年不明
ラテン語で“泥棒”を意味する「ラプトル」。属名で名前の一部に「ラプトル」と付く恐竜達を総称し、本展のために想像で描かれた。獲物を追う俊敏な「速い泥棒」ヴェラキラプトル、卵を盗み食べる「卵泥棒」のオビラプトルや福井県で発見された「フクイラプトル」、など。

怪人二十面相
アクリル絵具、キャンバス
制作年不明
江戸川乱歩の探偵小説『怪人二十面相』に登場する大盗賊。老人にも若者にも、乞食にも富豪にも化ける変装の名人で、その素顔は誰も知らない。大美術館を計画しており、貴重な美術品ばかりを狙う。明智小五郎と少年探偵団がライバル。

三億円事件
原画(木炭、紙)を紙に出力
制作年不明
1968年の日本の未解決事件『三億円事件』。白バイ警官に扮し、東芝府中工場のボーナス輸送車から現金3億円を詐取したとされる。巧妙な偽装と緻密な計画が特徴で、犯人は事件後も捕まらず、現金も見つかっていない。昭和犯罪史に残る謎多き存在。

アダム・ワース
インク、紙
「犯罪界のナポレオン」と呼ばれた人物。19世紀半ばのアメリカで赤貧に育ち、銀行強盗や宝石泥棒で財を成すと、イギリスで紳士のように暮らした。無暴力がポリシー。
シャーロック・ホームズの敵、モリアーティ教授のモデルとされる。
1枚の絵画に恋して盗み、25年間肌身離さずに持ち歩くほど惚れ込んでいた。亡くなる直前に画廊に返還を申し出たという。
(盗まれた絵画:デボンジャー公爵夫人ジョージアナ・キャベンディッシュ・スペンサー
トマス・ゲインズバラ(油彩・1787年頃))

怪傑ゾロ
デジタルペインティング(墨、Adobe Photoshop)を紙に出力
アメリカの作家ジョンストン・マッカレーによる小説『怪傑ゾロ』の主人公。舞台は18世紀後半、スペイン領下のカリフォルニア。圧政に苦しむ人々のため、奪われたものを奪い返す。剣術と馬術に長け、マスクの下に意外な素顔を隠し持つ。

アルセーヌ・ルパン
水彩絵具、アクリル絵具、紙
フランスの作家モーリス・ルブランの小説「ルパン」シリーズの主人公。
天賦の才に恵まれた華麗なる怪盗紳士で、知略と変装を駆使して大富豪や権力者を狙う。
女性に優しいロマンチスト。宿敵はシャーロック・ホームズ。

泥棒猫 れおにゃるど
墨、紙
制作年不明
この世界のどこかにいるかもしれない、猫界の大どろぼう。
のらりくらりと突如現れては店先から華麗に食品を奪い取っていく。人間界ではほとんど知られていないが、その素早さから猫界では一目置かれる存在。

Gacha-Skull with Parade of Demons
山本太郎 作画協力:京都美術工芸大学学生有志
2024
紙本金地着色
現代のアイテムが付喪神になった姿を描いた作品。大どろぼうの家に長年保管しているガラクタコレクションもいつか付喪神になる日が来るのかもしれない。