作品数なんと109!「ファーレ立川アート」は屋外の現代アート美術館
JR立川駅北口から親子の足で徒歩10分。立川駅北口ペデストリアンデッキを進み、左手に伊勢丹と髙島屋を見ながらどんどん進んでいくと、「ファーレ立川」という場所に出ます。PLAY!のご近所です(親子の足で徒歩5分くらい)。
ファーレ立川。アート好きな方は、現代美術史の本などで見たことがあるかもしれません。
1994年、ここにあった約6ヘクタールの米軍基地跡地に、ホテル、デパート、映画館、図書館、オフィスビルなど11棟の建物が作られて、そのなかにたくさんの現代アートが埋め込まれた。それが「ファーレ立川アート」です。
アートプランナーの北川フラムさんによる「街を森に見たてる」というコンセプトのもと、世界36カ国92人のアーティストがこの場所のために作品を制作しました。その数なんと109。
アーティストたちは当時の若手から大御所までさまざま。四半世紀経って他界したり、むちゃくちゃ有名になった人もたくさんいます。
ドナルド・ジャッド(アメリカ)
ロバート・ラウシェンバーグ(アメリカ)
ジョゼフ・コスース(アメリカ)
ニキ・ド・サンファル(フランス)
フェリックス・ゴンザレス=トレス(キューバ)
レベッカ・ホーン(ドイツ)
アニッシュ・カプーア(インド)
牛波/ニュウポ(中国)
河口龍夫(日本)
川俣正(日本)
岡崎乾二郎(日本)
篠原有司男(日本)
宮島達男(日本)
……
キリがないので、このくらいにしておきます。
※ちなみに「ファーレ」とは、イタリア語の「FARE(創造)」に立川のTをつけた造語「FARET」とのこと。
で、おもしろいのは、そんな有名アーティストたちの貴重な作品が、シンボリックな壁画や彫刻のようにドーンと立っているのではなくて(そういうものもありますが)、車止め、ベンチ、街灯、駐輪場のサイン、ビルの壁や、生垣や、歩道橋やらと一体化していることなんです。
街にひそんでいる忍者みたいに。
どこにも作家名や題名が書かれていないんです。だから、見つけた人だけがほくそ笑む。そうでない人にとってはただの風景。すごい、北川さん。
それで今日はじめてほんの少し、ファーレ立川アートを見てまわったわけですが、だんだん、どれが作品で、どれが設備や建物なのかわからなくなってくるんですよ。書いてないので。
だから「ちょっと変わった車止めだな」なんていって通り過ぎちゃうと、後で「あれ、アートだったのか!」って。自分の見る目のなさを思い知るわけです。
そんな風にして1時間もぐるぐる歩いていますと、なんだか普通に置かれている植木鉢や、通りすがりの自転車のおじさんまでアートに見えてくるし、パレスホテルのレストランでお茶している自分ももしかしたらアートなのかって——。
これって、なかなかおもしろい遊びかも!!!
というわけで、突然ですが、これからファーレ立川アートを109点すべて制覇することに決めました。
街灯やネオンを使った作品も多いので、夜も通わないといけないと思います。
で、こんな思いつきの人でも、109点制覇するために必要な道具はちゃんとそろっているのです。立川市の各所で無料配布されている必携の「ファーレアートマップ」。
これがまたよくできていまして。
とにかくデザインがいい。4枚組で、エリアごとに色分けされているので、「今日はこのエリアを攻めよう」って思ったら、その色の一枚だけを持っていけばいいのです。マップの裏面には、エリア内にある作品名や解説がばっちり載っていますよ。
さらに無料アプリ「ファーレ立川アートナビ」もダウンロードしてみましたよ。作家名や場所から作品を検索でき、そこから設置場所までナビしてもらえる機能も。作品の前に立つと、Bluetooth通信で「MYコレクション」に登録することもできます(=見た作品を記録できる)。ほかにも、人気作品のランキングやおすすめツアーがあったりして楽しそう。これからたくさん使ってみようと思います。
あと、もうひとつ大事だなと感じているのは、このファーレ立川アートの管理運営に関わっている市民の皆さんのこと。
1997年に設立された「ファーレ倶楽部」というボランティア団体が、アートツアーのガイドや、作品の清掃、作家とのワークショップなどを行なっているそうです。街と、そこで暮らす人たちと一緒に歳を取るアート。
そう、パブリック・アートって、みんなが関われる、というところが楽しいんですよね。ボランティアとして関わる市民の皆さんがファーレ立川アートについてどんな風に感じているのか、いつか話を聞いてみたいです。
施設情報
ファーレ立川アート
ウェブサイト: http://www.faretart.jp/