PLAY! インタビュー「ミッフィー展」特別展示参加アーティスト③ 写真家・川島小鳥さん 

うさぎの気持ちになって撮った写真。ミッフィーの原画の周りを跳びはねる

PLAY! MUSEUMで開かれている「誕生65周年記念 ミッフィー展」に参加しているアーティストを、らびがインタビューしました。今回は写真家の川島小鳥さんです。川島さんは屋外でうさぎを撮影した写真「みふぃみふぃ」を出展しています。ディック・ブルーナさんが描いたミッフィー(うさこちゃん)の原画の隣に並ぶうさぎたちの写真を見ていると、知らないうちに口元に笑みが浮かんできました。

取材・執筆:らび
撮影:清水奈緒

川島小鳥さん

―川島さん、こんにちは。らびです。うさぎの写真パネルが20枚ほど並ぶ「みふぃみふぃ」。うさぎたちの表情やしぐさがなんとも愛らしいですね。 

「自然のなかでのうさぎの姿が撮りたくて、撮影場所をいろいろ探しました」

みふぃみふぃ/川島小鳥

―子ども向けの「移動動物園」や「ふれあい動物園」を運営している会社が、神奈川県相模原市に持っている飼育場で撮影したのですよね。

「そうです。ブルーナさんの絵本『うさこちゃんとうみ』は、オランダの避暑地の海岸で見たうさぎがヒントになったと聞きました。それにちなんで、できるだけ野生で暮らすうさぎを撮りたかったので北海道や広島での撮影も考えましたが、最終的に神奈川に落ち着きました」

うさぎと同じ目線で

―どれも低いアングルの写真ですね。

「うさぎの目線と同じ高さになるよう、地面にほぼ寝そべるようにして撮影しました」

―なるほど、うさぎと同じ目線ですか。川島さんといえば、少女や友だちといった人物の写真家として知られています。今回うさぎを初めて撮ってみた感想はいかがですか?

「当たり前ですが、うさぎは人間と違ってポーズをとってくれません。そこが、難しいところであり、面白いところでもありましたね。その一方で、思いもよらないかわいい表情をしたり、しぐさをしたりします。
しかも、うさぎはこちらに何かしてもらおうと計算してやっているわけでもないでしょう。撮っていてわくわくしました」

―へえー。どんな表情でした?

「何匹かいるうさぎが順番にカメラをのぞきこんできたり、寄り添って寝ていたり。好奇心旺盛なのか動き回るうさぎがいれば、じっと動かないうさぎもいて、性格もそれぞれ違うのですよね」

カメラによる魔法

―ペットのうさぎの先祖であるアナウサギは群れで暮らす動物なので社会性があり、仲間同士でコミュニケーションがとれます。人と暮らすようになって、人ともコミュニケーションがとれるようになってきたそうですよ。

「そういえば、草原に寝そべって撮影していたら目線があうことがありました。だからといって、こっちに寄ってくるわけではないのですが、怖がったりもしません。撮っているうちに、自分もうさぎなんじゃないかと思うようになってきました」

―うさぎの気持ちになれたのですか?

「いきいき走っていたり、眠そうにしていたり、くつろいでいたりするうさぎたちの姿を、余計な作為をできるだけ捨てて撮影しようとカメラを向けていました。すると、僕がうさぎを撮っていると感じなくなる瞬間があります。カメラの魔法です。カメラが手元にあることで、自分が人間で相手がうさぎという境界線がなくなってくる。そんな感じになりましたね」

―カメラにはそんな力があるのですか?

「あります。僕にとっては」

ほぼ実物大のうさぎの大きさ

―フィルムのカメラを愛用していると聞いています。うさぎの写真もフィルムで撮影したのですか?

「今回はデジタルです。フィルムだとカメラに詰め替える時間がありますよね。その間に、ちょっとしたうさぎの表情の変化も見逃したくなかったので」 

―展示で工夫したことはありますか?

「展示はアートディレクターの祖父江慎さんに全面的にお願いしました。祖父江さんは僕の写真集『未来ちゃん』のブックデザインをしてくださってからのお付き合いで、祖父江さんの事務所の脇田あすかさんと一緒に案を出してくださいました。
ほぼ実物大のうさぎの大きさにプリントして『ブルーナさんの原画の周りをうさぎちゃんがぴょんぴょん跳びはねている感じにした』と話してくださいました」

-ちなみに小鳥さんというのは本名ではなく、ペンネームですよね。

「はい。高校時代の友だちがつけてくれたあだ名です」

―小鳥さんがいるなら、小兎さんがいてもいいかな。僕はこれから、「らび」改め「小兎」と名乗ってもいいですか?

「いいですよ。どうぞ、どうぞ(笑)」

川島小鳥

写真家。1980年生まれ。早稲田大学卒業。第42回講談社出版文化賞写真賞、第40回木村伊兵衛写真賞を受賞。主な作品に『BABY BABY』『未来ちゃん』『明星』『おはようもしもしあいしてる』、詩人の谷川俊太郎さんとの共著『おやすみ神たち』、画家の小橋陽介さんとの共作『飛びます』などがある。

らび
自ら「らび」と名乗る初老のおじさん。うさぎが好きで「ぼくは、うさぎの仲間」と勘違いしています。著書に『ディック・ブルーナ  ミッフィーと歩いた60年』 (文春文庫) 。『ちいさなぬくもり 66のおはなし』(ブルーシープ)のテキストも執筆。