PLAY! MUSEUMで好評開催中の「櫻井翔 未来への言葉展 PLAYFUL! 」(2024年1月18日(木)―4月14日(日))で櫻井さんと一緒に制作に関わってくださった方々に、展示の魅力を聞きました。
制作者だけが知る見どころや、ワクワクドキドキの制作エピソードなど。展覧会を楽しむヒントが盛りだくさんです!
撮影:白石和弘
みなさんへの質問
1、「櫻井翔 未来への言葉展 PLAYFUL! 」で担当された内容
2、注目してほしいところ、あまり知られていないこぼれ話
3、お気に入りのエリアやもの、その見どころ
みなさんの回答(50音順)
●AYAKA FUKANOさん
1、
「ありがとうの交換、的な。」の挿絵と、メイキングの挿絵
2、
注目してほしいのは、至るところに散りばめられている、櫻井さんのユーモアです。感動。。とジーンとしても、ちゃんとどこかで笑わせてくれる櫻井さんの優しさが詰まっています。常にその先の誰かの心を考えられる人なんだなぁと思いました。
これは展示を見た方にしか分からないかもしれないのですが、初めてお会いする打ち合わせ当日、真剣に打ち合わせをする櫻井さんのジャケットから、FUKANO Tシャツがチラッと。きっと緊張しているであろう私に気遣ってくださったのか、はたまたたまたまなのか。最後まで分からないまま打ち合わせは進んでいきました。
結局ご本人の口からその Tシャツの話が一切出なかった時、この方は気遣いのプロフェッショナルだなと思いました。
打ち合わせ時、制作時、ご本人の口から何度も【ファンの方々】という言葉を聞きました。どんな時もファンの方々、周りの方々のことを優先に考え、そして自らのクリエイティブな部分への妥協は許すことなく、多忙な中、多くの案を出してくださったり、提出してくださる資料はいつだって文章で埋め尽くされていました。人として、学ぶべきところが本当に多い方だなと心から思います。
3、
展示の時ってどうしてもそこにある文章やイラストなどの ”飾られているもの” が注目されますが、その ”飾られているもの”がいかに素敵に見えるか。一つの空間の中に、本当に多くの方のアイデアや時間や手が加わって、やっと展示というものが出来上がります。今回も様々な分野でのプロフェッショナルな方々とご一緒させていただきましたが、感動の一言でした。全ての作品はもちろんのこと、その飾られ方、空間の作り方、音の聞こえ方、もう全てがまるっと見どころです。
岡本香音さん
1、
「ことば工場」のクリエイティブディレクション
2、
収録の際に櫻井さんは90種類のことばに加えて、相槌や掛け声、演奏中の身振り手振りなどたくさんのことを、こちらの想定以上にやってくださいました。その姿からは櫻井さんの好奇心と、ことば工場を通じてコラボレーションすることになるお客さんに対する強い愛情を感じました。
3、
「来年も再来年も」のコーナーで上映している映像は、今回の展示のために再構築したものです。展示の構成上ラップやことば工場など様々な音が入り混じった空間での上映ですが、櫻井さんの誠実な眼差しによって紡がれた言葉の強さが、その空間の中で一層引き立って櫻井さんの多面性を表しているように思えます。
クリハラタカシさん
1、
「すきのあいうえお」の挿絵
2、
イラスト同士にいくつかつながりがあったりするので探してみてください!アケビの絵は生まれてはじめて描きました。
3、
サクラップサウナでの音の振動に包まれる感覚は他ではなかなかできない体験なのでオススメです!
鈴野浩一さん
1、
展示会場構成
2、
「サクラップサウナ」でサウナ感を演出するサウナストーンを設置しましたが、覗いて頂くと小さな発見があると思います。
3、
「サクラップサウナ」について、PLAY! MUSEUM では、大勢で同時に視聴することができるので、ライブ会場のような臨場感が生まれました。音の振動が什器からも伝わり、櫻井氏のラップの熱量を全身で体感することができます。
田部井美奈さん
1、
アートディレクションとデザイン(告知物・展示・グッズ)
2、
六本木会場でのオープニングムービーのディレクションも担当していましたが、櫻井さんは最初の一回で完璧にメッセージを収録されてました。
3、
「ことば工場」は、装置の不思議さにも驚きますが、櫻井さんの明るい言葉が次から次へとランダムに溢れてくる感じが好きです。
秦直也さん
1、
「僕です。」の挿絵
2、
普段、動物の習性や特徴を借りながら「本当はこんなこと考えているんじゃないか」をテーマにして描いているんですが、オトノハ原稿を受け取った時、日常に「面白い」を見つけ出すところにどこか共通点があるような気がしてワクワクしました。櫻井さんに色んな動物になって頂いたところが注目ポイントでしょうか。
櫻井さんに「お気に入りはありますか?」と聞かれたとき、お答えしたのは「眠るまでが、彼の仕事」でした。眠っている時、花の香りは分からないですが、ベッドのようになり睡眠中もふわふわと役割を果たしてくれている。香りも少しは漂っていてネズミを深い眠りに誘っている。そんなイメージです。
3、
「すきのあいうえお」は櫻井さんの言葉とクリハラさんの絵が即興のセッションのようで想像も膨らみ、とっても素敵です。サクラップサウナとも相まって音を楽しむ空間のような居心地が良い場所だなと感じました。
松山真也さん
1、
ことば工場(の企画サポート、制作)
2、
お客さんどうしの協力によってラップが完成するところが面白いところかなと思います。カードをかざしたときの挙動は細かいところまで作り込んでいて、側面のLEDランプが5つ縦に並んでいてついていくんですが、その色がしばらくカードの色と連動して光るようにしています。など、細かいところも工夫しています。上部の電光掲示板の挙動も細かく作り込んでいるので注目してほしいです。
3、
個人的には、「ありがとうの交換。的な。」のメイキング絵巻が好きです。メイキングというプロセスを見られるのも面白いですが、それをまたAYAKA FUKANOさんが絵で表現されているところがとても素敵だなと思いました。創作のループみたいなのが面白いなと思いました。
AYAKA FUKANO(あやか・ふかの)
アーティスト。東京で生まれ育ち、思春期の多感な時期をドイツで過ごす。海外生活を通して、想いや考えをあらゆる方法で表現することの楽しさを学び、この頃の経験がベースとなりアーティストへ。不規則ながらも迷いのない線とポップなカラーリングを持ち味に様々なアート作品を制作。愛をテーマに描かれる暖かい世界観は国内外の幅広い層から支持されている。
岡本香音(おかもと・かのん)
東京都小金井市生まれ。早稲田大学基幹理工学部で、是枝裕和監督らの元映像表現を学ぶ。在学中から映像作家・インスタレーション作家として活動。2022年4月、電通に入社。プランナーとしての業務と並行して、カメラマンやエンジニア等、領域にとらわれない表現を続けている。
クリハラタカシ
1977年、東京都生まれ。マンガ家、絵本作家、イラストレーター。主な作品に、マンガ絵本『ゲナポッポ』(白泉社)、『きょうのコロンペク』(福音館書店)、マンガ『冬のUFO・夏の怪獣【新版】』(ナナロク社)、絵本『これなんなん?』(くもん出版)、『ポケモンとんとんとん』(小学館)などがある。
鈴野浩一(すずの・こういち)
2004年に禿真哉(かむろ しんや)とトラフ建築設計事務所設立。建築の設計をはじめ、インテリア、展覧会の会場構成、プロダクトデザイン、空間インスタレーションやムービー制作への参加など多岐に渡り、建築的な思考をベースに取り組んでいる。主な作品に「港北の住宅」「空気の器」「Big T」「TOKYOBIKE TOKYO」など。
田部井美奈(たべい・みな)
グラフィックデザイナー・アートディレクター。2003年より有限会社 服部一成に勤務。’14年に独立、田部井美奈デザインを設立。広告、パッケージ、書籍などの仕事を中心に活動。主な仕事に『大河ドラマ 光る君へ』『ファミリーマート 「BLUE GREEN」』『マティス展』『山崎ナオコーラ「ミライの源氏物語」』、『石川直樹 奥能登半島』、展示『光と図形』など。2019 年ADC賞受賞。
秦直也(はた・なおや)
イラストレーター。1981年兵庫県生まれ。大阪芸術大学建築学科卒業。2011 年よりイラストレーションを描きはじめる。書籍の装画や挿絵、商品パッケージ、広告などを中心に活動。主に動物をモチーフとしたイラストレーションを制作している。
naoyahata.com
松山真也(まつやま・しんや)
プランナー/デザイナー/エンジニア。2015年にsiro Inc.設立。アイデアからアウトプットまでのすべての工程を主体的に組み、見た人をワクワクさせるものを作る。デザイナーやアーティストとのコラボレーションも多く、心地よい体験を軽やかに実現する。