PLAY! MUSEUMで開催中「⾕川俊太郎 絵本★百貨展」の歩き方を紹介します。展覧会の予習にぜひご覧ください!
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「絵本★百貨展」で紹介している谷川俊太郎さんの絵本20冊はこちら
会場写真:高橋マナミ
○『なおみ』(写真・沢渡朔)福音館書店 1982年
写真がすきなしゅんたろさんと、写真家の沢渡朔さんが、少女の時間の感じ方を描いた前衛的な絵本です。
なおみ なおみ
わたしの なおみ
あなたは どこへ いってしまったの?
なおみ なおみ
わたしは ここに いるというのに
PLAY! MUSEUMの名所「ぐるぐるの廊下」に、沢渡さんの写真が一列に並び、講談師の神田京子さんの朗読が静かに響きます。
○『えをかく』 (絵・長新太)新進 1973年 (1979年復刊 講談社)
しゅんたろさんの詩「えをかく」に、えかきの長新太さんが絵を描きました。できあがった絵をみて、しゅんたろさんはとても驚いたと言います。
「詩の始まりを長さんはそのまんま実に軽々と絵にしてくれているでしょう。ぼくはただただ長さんの天才ぶりに感動しただけなんです」
この壮大な、天地創造の物語のような絵と言葉を、しゅんたろさんの朗読をききながら、長さんの絵を歩いて、じっくりと感じてみてください。
まずはじめに じめんをかく
つぎには そらをかく
それから おひさまと ほしと つきをかく
そうして うみをかく
朗読は2023年3月16日(木)、しゅんたろさんの自宅で収録したものです。
「谷川俊太郎 絵本★百貨展」会場写真 「谷川俊太郎 絵本★百貨展」会場写真
○『せんそうごっこ』 (絵・三輪滋) ばるん舎 1982年(2015年復刊 いそっぷ社)
『へいわとせんそう』 (絵・Noritake)ブロンズ新社 2019年
しゅんたろさんは、戦争を題材にしたいくつかの絵本を作っています。
「ぼくは子どもの想像力を信用してるんです。子どものほうが大人よりはるかに突拍子もないことを連想しますからね」
ここでは最も古いものと新しいもの、2冊をじっくり読む場所を用意しました。
まけたほうは みんな しんだ、
かったほうも みんな しんだ。おあいこだ。
でも ぼくは しなない。
(『せんそうごっこ』より)
へいわのボク せんそうのボク
へいわのくも せんそうのくも
みかたのあさ てきのあさ
(『へいわとせんそう』より)
「谷川俊太郎 絵本★百貨展」会場写真 「谷川俊太郎 絵本★百貨展」会場写真
○『かないくん』 (絵・松本大洋)ほぼ日 2014年
『ぼく』 (絵・合田里美)岩崎書店 2022年
「生と死はつながっている」
しゅんたろさんは、死をめぐる絵本もてがけてきました。しゅんたろさんが一晩で文をつづり、えかきの松本大洋さんが2年かけて絵を描いた『かないくん』の物語。えかきの合田里美といっしょに昨年発表した、自死を扱った『ぼく』。その2冊の原画を、アルミでできたひんやりとした壁に展示しています。
何が始まったのかは分からない。
でも終わったのではなく、
始まったんだと思った。
(『かないくん』より)
ぼくは しんだ
ひとりで しんだ
うちゅうは おおきすぎる
じかんは おわらない
(『ぼく』より)
展示デザインは建築家の張替那麻さんが担当しました。
「谷川俊太郎 絵本★百貨展」会場写真 「谷川俊太郎 絵本★百貨展」会場写真 「谷川俊太郎 絵本★百貨展」会場写真 「谷川俊太郎 絵本★百貨展」会場写真 「谷川俊太郎 絵本★百貨展」会場写真
○『うつくしい!』(写真・塚原琢哉)日本ブリタニカ 1983年
わたしたちのすんでいるほし、ちきゅうはうつくしい。いのちのあるものも、いのちのないものも、 にんげんにははかりしれない、 おおきなちからによって、うごかされていく。
「絵本というのは絵巻の昔から続いてきた古いメディアではあるけれども、もっと新しい使い方ができるメディアでもある」
そう考えたしゅんたろさんが、「美」をテーマにして力をいれて作った「認識絵本」のひとつをスライドショーでじっくりとご覧ください。
「谷川俊太郎 絵本★百貨展」会場写真
○和田誠さんとの絵本
しゅんたろさんとえかきの和田誠さんは名コンビ。数多くの絵本をつくりました。この長いベンチは、『あな』をヒントにつくった読書コーナーです。一休みしながら、置かれたたくさん絵本をお楽しみください。
あなのなかは しずかだった。
つちは いいにおいがした。
ひろしは あなのかべの
しゃべるのあとに さわってみた。
「これは ぼくの あなだ」ひろしは おもった。
(『あな』より)
展示デザインは建築家の張替那麻さんが担当しました。
「谷川俊太郎 絵本★百貨展」会場写真 「谷川俊太郎 絵本★百貨展」会場写真 「谷川俊太郎 絵本★百貨展」会場写真
○『すきのあいうえお』
あられ
いるか
う
えかき
おか
しゅんたろさんが書いた「あ」から「ん」までのすきなものを、写真家の田附勝さんが、北は青森、南は鹿児島まで日本中を旅して写真に収めました。あるときはたのしい言葉遊びのようで、楽しく、かわいらしく。時折、芯に触れる熱も感じる、そんな作品です。
ところで、あなたの「すきのあいうえお」はなんでしょう?おもしろいので、試しに書いてみてください。「すき」ってすばらしいことなんです。
写真撮影は写真家の田附勝さん。会場用の映像をつくったのは映像作家の岡本香音さんです。
「谷川俊太郎 絵本★百貨展」会場写真 「谷川俊太郎 絵本★百貨展」会場写真 「谷川俊太郎 絵本★百貨展」会場写真
○『もこ もこもこ』 (絵・元永定正)文研出版 1977年
もこ
にょきにょき
つん
ぎらぎら
ふんわふんわ
しーん
しゅんたろさんが読む『もこ もこもこ』。
えかきの元永定正さんが描く『もこ もこもこ』。
ゆっくりと大地に腰かけて、みみをすませて、目と心を開く。
そうして体いっぱいに感じてみてください。
朗読は2023年3月16日(木)、しゅんたろさんの自宅で収録したものです。
この部屋をつくったのは映像作家の岡本香音さんです。
「谷川俊太郎 絵本★百貨展」会場写真 「谷川俊太郎 絵本★百貨展」会場写真
展覧会のすてきなグラフィックをデザインしたのは、アートディレクターの有山達也さん。
みずみずしい、ダイナミックな空間構成を担当したのは、建築家の手塚貴晴さん。
展示の構成や解説を書いたのは、キュレーターの林綾野さん。
みんなしゅんたろさんが大好きです。
「絵本★百貨展」は好きのパワーでできています。