tupera tuperaによる作品ガイド②「かお10」

tupera tupera のふたりが、展覧会「tupera tuperaのかおてん.」をガイド。ひとあし先に、会場にどんな作品があるのか、一緒にのぞいちゃいましょう!

会場写真:吉次史成

「かお10」

原画コーナーをすぎると、会場の「うず巻き」のはじまりに突然現れる、巨大な「かお」!うず巻きの廊下にそって、10の「かお」がつぎつぎと……

2メートルの「かお」

これはまた、大きな写真の作品ですねえ!

亀山達矢  2メートルあります。撮影したのは写真家のあべちゃん(阿部高之さん)。会場の原画コーナーでも紹介している絵本『モノモノノケ』も一緒に作りました。

あべちゃんは予備校の時からの友人で、僕らが信頼している写真家のひとりです。今回、会場に大きな写真の作品を飾りたいな、と思って、あべちゃんに撮影をお願いしました。

会場の「モノモノノケ」のコーナー

中川敦子  ここにある10の顔は、あべちゃんに京都に来てもらって2日間で撮ったんですよね。

亀山  文房具、おもちゃ、お菓子、ほかにも顔になりそうな身の回りものをいっぱい集めて、屋外や屋内でどんな顔ができるのかを考えて。その場でガンガン顔を作って、あべちゃんにバシバシ撮ってもらいました。その後、顔に名前をつけて。

「かお10」メイキング(写真:阿部高之)

顔を作ってから名前を考える

この人たち、それぞれ名前があるんですか。

中川  はい。名前とプロフィールがあって、会場でも紹介しています。

亀山  人間もそうじゃないですか。生まれる前から子どもの名前を考える人もいれば、生まれた子の顔を見て考える人もいますよね。僕らは、顔を作った後に名前を考えて、さらに、そいつの出身地、特性、趣味、病歴(笑)まで考えてみました。

例えばこの人、洗井服子(あらい・ふくこ)さん(38歳)は、洗濯物をたたんでいたら生まれたんですよ。

洗井服子 (写真:阿部高之)

中川  こちらは、板野まなちゃん(8歳)。たまたま、玉ねぎを切ったから泣いているんですけど(笑)。

まな板の上に野菜をおいて顔を作るといっても、いろんなバリエーションがあって。インゲンの角度をちょっと変えるだけでも、泣いたり笑ったり、無限に遊べるんです。

板野まな (写真:阿部高之)

亀山  「自分にもできそう。家でやってみようかな」って思ってもらえる作品がほしくて作ったのが「かお10」。特別な道具や材料がなくても、そのへんにあるものを置くだけでできますから。

生まれた顔に名を与え、さらにそいつのことを掘り下げていくのって、すごくおもしろい遊びなんですよ。ぜひやってみてほしいです。

道端遊造、60歳

事前に顔のデザインは練っておくのでしょうか。

中川  いちおう、こんなスケッチを描いて構想は練りました。それに合わせて材料も用意しておいて。

即興でやったほうが勢いが出ておもしろいものができる可能性もありますが、今回は2日間という短い時間のなかで撮影しないといけなかったので、いつもよりちゃんと計画を練って撮影に挑みました。でも、気心の知れたあべちゃんだったからこそ、リラックスしてできたと思います。

tupera tuperaによる「かお10」のスケッチ

亀山  本当はみんなでキャッキャ言ってビールでも飲みながらやれたらよかったんだけどね。急ピッチだったけれど、おもしろかったですよ。「かお10」のどの顔も気に入っています!

_P7A1000 「かお10」メイキング(写真:阿部高之)

何人か紹介していただけますか。

亀山  この人は道端遊造(みちばた・ゆうぞう)、60歳。路上で子どもに遊びを教えていて、口ぐせが「マンforホール ホールforマンやで!」(人は穴のために、穴は人のために)です。このセリフは、僕が車で高知に向かうあいだに思いついたんですけど。

道端遊造 (写真:阿部高之)

こちらは朝田パン介といって、パンクロッカーに憧れている17歳。ロシア人のドンチャン・サワギスキー(36歳)はウオッカを飲むとちょっと浮かれて騒いじゃうんです。ジャンク・カッシーナ(22歳)はイタリア系アメリカ人で……

おもしろい顔の作り方

おもしろい顔の作り方のコツはありますか。

亀山  目です、目。目の強さは大事なポイントですね。これがボヤッとしてると存在感や生命力が出てこないんですよ。

目から作る感じですか。

中川&亀山  順番は決まってないですが…

亀山  ちなみに洗井服子さんの白目部分は白いブラジャーなんです。口は赤いパンティーなのですが、いいのを入手するのが難しくて。敦子が…

中川  京都・出町柳の商店街のお店で買いました。

亀山  敦子さんから「店内におじさんがいて、買いにくい」と電話がかかってきて…

中川  私が下着売り場で赤いパンツを見つくろっていると、おじさんが大きな声で「いらっしゃいませ〜!」ってなんども声をかけてくるんです。ほっといてくれたらいいのに(笑)!

仕方がないから開きなおって、 オバちゃんパワーで全然気にしない風で、真っ白の巨大なブラジャーと真っ赤なレースのパンツを3枚も買いました。

材料を集めるのもひと苦労ですね。

亀山  それで、これ、2メートルの作品なんですけど、顔の裏側に人が入れるようになってるんです。内側に入って、自分がその顔の胴体になることによって完成するんです。

なかなかおもしろい見た目になるから、ぜひ試してみてくださいね。

写真:阿部高之