tupera tuperaによる作品ガイド④「かおカオス」
tupera tupera のふたりが、展覧会「tupera tuperaのかおてん.」をガイド。ひとあし先に、会場にどんな作品があるのか、一緒にのぞいちゃいましょう!
会場写真:吉次史成
さあ、気づけば、会場の奥へと進んできましたよ。目の前にドーンドーンと謎の大きな立体オブジェがたくさん立っています。あれ、遠くから見ると巨大な「かお」に見える。長いまつ毛も天井に届きそうです!
「できないだろうな」って思っていた
―まず、「かおカオス」というネーミングですね。
亀山達矢 そうなんです。まず、このシャレのようなネーミングが我ながら気に入ってしまって(笑)。
「かお10」は写真家のあべちゃん(阿部高之さん)が撮って仕上げているし、「かおつくリズム」はCEKAIの窪田 慎さんが仕上げている。僕らもなにか、自分たちで仕上げるものがほしいなあ、って思ったんです。
そうしたらPLAY!プロデューサーの草刈大介さんが、「やりたいことなんでもやろう!」って言ってくれたので、できるかわからないけれど、模型を作ってみました。
あれはたしか2月ですよ。予定では4月オープンまであと2ヶ月もなくて、僕らの感覚だと「こんなの作ったら半年はかかるだろう」と思った。そもそもどうやって作るのかもわからないし。
その模型を草刈さんと東京スタデオの岩井 徹さんに見てもらったんです。内心「全部はできないだろうなあ」って思いながら。そうしたら「できる、やろう」って言ってくれたんです。驚きましたよ。
草刈大介 うは(笑)!
世の中は、顔のカオス
亀山 ちょうど「武蔵野美術大学で教えないか」という話があって。それで版画専攻の学生たちと一緒に「かおカオス」で何かできないかな、と思って有志を集めたんです。1回生から4回生まで15人くらい。
そうしたら新型コロナウイルスが……。大学の版画工房が閉鎖されて、学生たち、何も作れなくなっちゃった。
版画って、工房の設備や道具がないと何も作れないんですよ。版画ならではの技術的な特色を生かせない。でも、学生たちががんばってくれて、手描きだったり、スタンピングだったり、いろいろな技法を編み出して協力してくれました。
中川 当初は一緒に現場に入ってもらって制作も、と考えていたんです。でもそれは状況的にできなかったので、学生さんたちから素材を提供してもらい、私たちが現場で仕上げました。
亀山 学生のみんなが作ってくれた紙を切って、東京スタデオさんが作ってくれたオブジェに貼り付けていきました。それらは動くし、音も鳴るし。東京スタデオさんは本当に「お見事!」としかいいようがない仕事をしてくれました。
中川 これは作品を遠くから眺めるだけではなく、オブジェのあいだを通り抜けたり、さわったりできます。なかには、ブツブツしゃべるのもありますよ。
―ところで「カオス」に込めた意味とは?
亀山 ただのシャレですよ。でも、顔ってカオスじゃないですか。品川駅のものすごい通勤ラッシュのなかで人の顔を眺めていると、「ああ世の中、顔のカオスだなあ」ってつくづく思う。ええ、ただのシャレなんです。