コジコジ万博、はじまりました!

PLAY! 内覧会のようす

取材:揚石圭子
写真:清水奈緒

2022年4月23日(土)、さくらももこさんの人気漫画「コジコジ」を単独で取り上げる世界初の展覧会「コジコジ万博」が開幕しました!

開幕前日にはプレス内覧会が開かれ、たくさんの取材陣が集まりました。

展覧会を企画したPLAY! プロデューサーの草刈大介(ブルーシープ)は冒頭のあいさつで、作者さくらももこさんとコジコジとの出会いについて語りました。

「最初に展示されているさくら先生の直筆原稿には、らくがきで描いた『クマみたいな子』にコジコジという名前をつけたのがはじまりだった、とあります。らくがきに名前をつけることはめったになく、きっとこれから何かが起きるに違いないと予感したそうです。

その後、コジコジがさくらさんを導くようにして、コジコジの世界が生まれていきました。漫画家としてこんなにやりがいのある、おもしろいことはないと感じたと書かれています。
今回の展示も、誰かがこうしたいと思ってつくったわけではなく、コジコジがみんなをリードしてこの空間ができ、お客さまを迎えるような……そういう機会になるのではないかと思っています」

今回は、PLAY! のオープン3年目にして初の漫画展示です。「コジコジ」の世界観を伝えるために、クリエイティブ集団・CEKAIと、新作コマ撮りアニメの製作のため、アニメーションスタジオ・dwarfが制作チームに加わりました。

内覧会では、CEKAIの福田哲丸さん、dwarfの木梨綾乃さんが登壇し、展覧会についてそれぞれ話ししました。

展示空間デザイン・広報物アートディレクション
福田哲丸さん(CEKAI)

ー「コジコジ」には、どんなイメージをもっていましたか?

福田 ぼくは子どものころにコジコジをアニメで見ていましたが、当時はすごく怖い印象がありました。改めて見てみても、やっぱり怖かったです。この怖さはいったいなんなのだろうというところからイメージをふくらませ、アートディレクションがはじまりました。

「生まれた時から ずーっと 将来も コジコジはコジコジだよ」とか、淡々と真理をついたことを言うところはもう、かみさまみたいだなあと。展示の入り口の造形(神社などにある紙垂をさせるようなもの)もそうですが、全体的なイメージをつくりあげていくうえでも、そうした印象を一つのヒントにしています。

ー展示をつくっていくうえで、柱にしたものはありますか?

福田 さくら先生は「コジコジ」を描くとき、「馬鹿メルヘンをやろうと思った」と革新的な一言を語っています。
“馬鹿メルヘン”ってすごくいい言葉だなと思って、その言葉が表す世界観を、今回の企画の柱にしようと思いました。

“馬鹿”といっても、さくら先生は「コジコジ」を決していい加減に描いていたわけではなく、本当にいい漫画を描こうと真剣に考え、その結果、“馬鹿”なたたずまいを生み出しているのがすばらしいなと思います。

ぼくも今回の展示で、その“馬鹿”をやってみたいなと思って。さくら先生の精神性にあやかりながら、「コジコジ」という漫画の力を借りて、つくっていきました。

ー実際にどうやって“馬鹿メルヘン”のイメージをつくっていったのですか? 

福田 たとえば入り口を入るといきなり、道が壁にぐにゃっと伸びていっちゃうところなど、普通じゃない世界観を、視覚的にわかりやすくしています。

福田 あと、物知りじいさんというキャラクターがいるのですが、メルヘンの国でみんなにすごく雑に扱われている感じも含め、すごく愛くるしいキャラクターなんです。その世界観を、どうしても一つのコンテンツとして、デジタルではなく、アナログでつくりたいと思いました。

バボット(空気圧で動かすバルーン)を使って物知りじいさんの長い首を動かそうとしましたが、頭が重すぎてなかなかイメージ通りにいかなくて。途中で心が折れ、制作してくれた職人さんたちに「もうそのくらいで大丈夫です」と伝えたのですが、みなさん、「福田さん、もうちょっとでできるので!」と盛り上がって作業してくれて、イメージ通りに仕上げることができました。

一見、本当に“馬鹿”なアイデアだと思うんですが(笑)。でも“馬鹿”をやるのには実はすごい情熱がいるし、力がいります。裏でものすごく真面目に突き詰めないと、ぼくらが目指す“馬鹿”にはたどり着けないことを、今回の仕事を通して勉強させていただきました。

福田 今回、こうした思い切った展示をつくりあげることができたのも、さくらプロのみなさんが、こちらから出したアイデアを許容してくださったということが大きいです。
快く「いいね、おもしろいね!」と言ってくださるから、こちらも絶対にいいものにしよう! とがんばれるという、すごくいいサイクルが生まれました。やはりさくら先生とともに、「コジコジ」や「ちびまる子ちゃん」を生み出してきた方々のグルーブはすごいなと思いました。

コマ撮りアニメーション「コジコジと次郎の不毛な会話」制作
木梨綾乃さん(dwarf プロデューサー)

ー「コジコジ」は漫画があり、アニメーションがあるのですが、3Dがありません。それで3Dのアニメーションがあったらいいなと思い、お声がけしました。「コジコジ」と聞いて最初にどう思いましたか?

木梨 「わ〜、コジコジか! やりたい!」と思いました。「コジコジ」は学生のときに漫画で読みましたが、大好きな作品です。さくら先生の作品に携われるのがとてもうれしかったですね。

ー制作はどんな作業からスタートしたのですか?

木梨 まず人形づくりからはじめました。かわいさを損ねないよう、選りすぐりの人形作家さんにお声がけして、制作に2カ月くらいかけました。
制作チームはみんな「コジコジ」が大好きなので、楽しみながらつくりました。原作を大切に、コマ撮り人形の制限のある動きの中でどう表現していくのか、という部分では苦労もありました。

ー「不毛な会話」というストーリーは、どんなコンセプトからつくられたのですか?

木梨 ストーリーはdwarf所属の監督・小林雅仁による企画です。
コジコジと次郎くんはいつも噛み合わない不思議な会話をしています。それを何回もループしていく映像の中で表現したいと思いました。

アニメを見たあと、美術館の中で「あそこにもコジコジがいそう」とか、美術館から家に帰る途中でも「なんかセリフが頭の中で聞こえてくるな」と感じられるような、見た人の中に残るものをつくりたいと意識しました。

原作の中から抜き出した要素もいろいろあります。たとえば最後のシーンは、「まほうの練習」というお話に出てくる星空のシーンで終わるのが気持ちいいんじゃないかなと思って取り入れました。

「コジコジと次郎の不毛な会話」© さくらももこ/ dwarf CV:あおきさやか(コジコジ役)、高乃麗(次郎役)より

ーCGで3Dアニメーションをつくることもできるなか、あえてコマ撮りにこだわるのはなぜですか?

木梨 CGはすべて画面の中でつくりますが、こま撮りでは人形だけではなく、舞台セットもすべて実際につくって、動かしていきます。実際にものがある、というのは大きなことで、こま撮りでしか表現できない世界観があります。

コジコジを愛するたくさんの人たちの力をあわせて誕生した「コジコジ万博」。
あなたもぜひその世界を目撃してください!