「コジコジ万博」図録インタビューこぼれ話 電気グルーヴ(石野卓球さん、ピエール瀧さん)

アニメのエンディングテーマ「ポケット カウボーイ」について

コジコジ万博公式図録『COJI COJI FAN BOOK コジコジのすべて』に収録されているクリエイターインタビューから、本に載せきれなかった「こぼれ話」を紹介します。
コジコジにまつわるお話や、展示作品のひみつをたっぷり。読めばもっと展覧会が楽しくなります!

インタビュー本編は、ぜひ図録をご覧ください。
図録は、PLAY! SHOPで好評発売中!全国書店では5月13日(金)から販売開始します。

取材・執筆:いまむられいこ
会場写真:清水奈緒

白いレースよりガラムのさくらさん

―さくらももこさんと初めて会ったのはいつですか。

石野 初めてご挨拶したのは「コジコジ」の時の方が先だったと思うんですけど、僕はその後「ちびまる子ちゃん」の「おどるポンポコリン」(アニメ放送開始20周年記念、木村カエラさんによるカバーバージョン)のアレンジをやったことがあって、その時にさくらさんがスタジオにお見えになったんです。実は、ちゃんと会ってお話したのは実はその時だけ。2009年頃ですね。

―さくらさんのご自宅に、まりん(砂原良徳)さん含むお三方のサインがありました。

 もしかしたら、そのサインは「ポケット カウボーイ」の件だったかもしれませんね。

―どんな印象でしたか。

石野 想像していたキャラクターと違ってびっくりしました。

「ちびまる子ちゃん」の、のほほんとした世界観を勝手にイメージしていて、フォークシンガーのイルカさんみたいな風貌でね。実際は全然違って、一番意外だったのは、缶のガラムを吸っていたという。

 イメージだと白いレースの服を着て、ゆっくりふわ〜と話すような先生なのかと思ったら、会ってみたらガハハ系。嘘でしょ、みたいな。缶のガラムは驚いたね。

石野 インドネシア人以外で初めて見たよね。

ボーナスみたいな「ポケット カウボーイ」

―図録のインタビューによると、さくらさんサイドから「アニメ『コジコジ』のエンディングテーマに電気グルーヴの『ポケット カウボーイ』を使いたい」とコンタクトがあったそうですね。

 すでに出ていたアルバム「A(エース)」(1997年5月14日リリース、7枚目)の中から、「この曲を使いたい」という話でした。

石野 そのアルバムに「Shangri-La」っていう曲が入っていてヒットしたので、「あのアルバムからシングルカットすることはもうないだろう」て思っていたところ、その話をいただいて。僕らとしては、あの曲でシングル切るなんて夢にも思っていなかったんで、ボーナスみたいな感じでした(笑)。

アニメ「さくらももこ劇場 コジコジ」はYouTubeでも配信されています!

―シングルとしてリリースするため、いくつかのリミックスバージョンを作っています。

石野 あの曲はシングル用でなかったので、カップリングの曲が必要だったんです。

当時、僕がすごく好きだったDMX Krewっていうイギリスのアーティストがいるんですけど、「彼がアレンジしたらおもしろくなるだろう」というので、その時カップリングで実現したんですよ。それがきっかけで、アルバム「A」のほかの曲も色んな人にリミックスを頼んでみよう、ということになって「recycled A」っていうアルバムリミックス版が生まれたんです。

―シングルの「ポケット カウボーイ」もアレンジしたのですか。会場では、シングルのほうを流しています。

石野 シングルのほうだけ、「ヘーイ」っていう男の人の声が入ってるんですけど、それは、当時のマネージャーだった道下という男をだまして録音したやつなの(笑)。

 ブースに全員入れて、みんなで「ヘーイ」って言おうって。「せーの」でみんなは黙ってて、道下がひとりだけ「ヘーイ」って言ったところを「はい、いただき」っていう(笑)。

―その「ヘーイ」はぜひ聞きたいです。ところで「ポケット カウボーイ」という曲が生まれたのは。

石野 最初の発想は、後奏のほうで出てくる、たったららー、ぴっぴららー、というのが、映画「荒野のガンマン」みたいなイメージ。当時メンバーだったまりんと、ファミコンとかアナログなテレビゲームのBGMみたいな感じにしたい、と話してました。

今だったらチップチューンとか言われるようなものだけど、当時はそういう言葉なかったので。おもちゃのカウボーイ、というイメージは浮かんだんですけど、それで歌いたい歌詞なんて何もないので瀧に丸投げしました。「ポケットカウボーイというタイトルにしたいからそれをテーマに歌詞を書いてくれ」って。

 先にオケがあって、ああいう感じの。それでポケットカウボーイかあ・・

石野 すごい悩んでたよね。

 個人タクシーに乗っている時に、思いついた気がしますね。そのシーンだけ今、思い出しました。なんとか歌詞はできたけど、逆にこれ歌うのどうしようってなった。当時僕ら30才くらいですかね、内容はいいんですけど、一人で歌ったところでねえ、って。

石野 最初一人で歌ってみたらすごいやばかった。

 やばかったです。

石野 「お・と・こ・ら・し・く・て〜」って。いろんな歌い方を試したんですけど、どれもやっぱりしっくりこなくて。

真剣に歌うのもしっくりこないし、ふざけるのもしっくりこないし、「じゃあ、みんなで歌ってみよう」って、いろんなトラックを試したんです。4、5種類のボーカルのトラックを作って、それをスイッチングでランダムに切り替えて、最終的にああいう形になりました。

 後から考えると、テレビっぽい感じがするかもしれないですね。切り替わる感じが。

エンディングテーマのトラウマ感

―完成したエンディングはご覧になりましたか?

石野 もちろんもちろん。下でピョコピョコ飛んでるのですよね、見ました見ました。でも当時忙しくて、毎週テレビアニメを見る習慣もないから、本放送でオンエアを見たことはほとんどないです。
その後の再放送で、夕方テレビをつけると自分たちが作った曲に出くわす、という経験はしましたね。

―あのエンディングを見て、我々当時の小学生たちが初めて電気グルーヴを知ったんです。それで高校生くらいになって、「あれは電気グルーヴの初体験だったねえ」って。

コジコジ万博「ディスコ☆ポケット カウボーイ」協力:日本アニメーション株式会社

石野 僕らも子供の頃、昭和のテレビアニメを見て育った世代なんですけど、テレビアニメのエンディングって変な曲が多いじゃないですか。メインテーマよりもエンディングのほうが、大人になってからも心に深く染み込んでるっていう。よく考えると、うちらもエンディングの仕事って多いんですよね。

 エンディングって、原作者が作詞をしてたり、スタッフの言いたいことが結構入ってるよね。変に暗かったり。

石野 オープニングの四番打者感のスカッと抜ける感じじゃなくて、夕方感ね。

 すっと置きに来る感じ。

―今ふと、「ルパン三世」のエンディングを思い出しました。

石野 チャーリー・コーセイのね。(ちょっと真似て)あし〜おとに〜

 今日の分が終わっちゃってちょっとさみしい感じ。

石野 センチメンタルなね。おれは、「ドロロンえん魔くん」のエンディング(「妖怪にご用心」中山千夏)の、へんなかんじが〜しませんか〜、が色濃く残ってるかな。あと「ゲゲゲの鬼太郎」のエンディング「カランコロンの歌」(憂歌団)。

 「ガンバの冒険」のエンディング(「冒険者たちのバラード」すぎうらよしひろ)は、「子どもが見るのになんでこんな」みたいな。

石野 あと「はじめ人間ギャートルズ。」。なんにもない なんにもない(「やつらの足音のバラード」かまやつひろし)「天才バカボン」の、41才の春だから(三山ひろし)。

ああ、やっぱり、エンディングって刺さってくるね〜!

電気グルーヴ

テクノバンド。1989年結成。現在のメンバーは、石野卓球とピエール瀧。テクノ、エレクトロを中心とした独特の音楽性と破天荒なパフォーマンスが特徴。世相を風刺した作品が多く、1990年代以降サブカルの担い手として活躍。

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