
『よるくま』『金曜日の砂糖ちゃん』(いずれも偕成社)などで知られる絵本作家・酒井駒子。子どもや動物、情景の繊細な描写と、絵と響き合う詩的な文が多くの人々を魅了してきました。ブラチスラバ世界絵本原画展での金牌、オランダ「銀の石筆賞」を受賞するなど、海外でも高い評価を得ています。
本展は、酒井駒子初となる本格的な個展です。これまでに刊行された20冊を超す絵本を中心に、約250点の原画を厳選。「ひみつ」「はらっぱ」「くらやみ」「こども」などのキーワードに分けて空間を構成します。会場内には、酒井が制作を行う山のアトリエ周辺の映像や音、酒井が大切にしている小さなおもちゃやオブジェを配します。森の中、街の中をゆったりとめぐりながら、絵とことばに出会う、そんな新しい体験を提供する展覧会です。
本展は、2021年夏に横須賀美術館(神奈川)、その後全国を巡回予定です。
チラシやポスター、図録のデザインは、『金曜日の砂糖ちゃん』(偕成社)のブックデザインを手掛けたcozfish(祖父江慎+藤井瑶)が担当。空間デザインは京都在住のフランス人ユニット2m26が手がけています。
見どころ:約250点の絵本原画
デビューから最新作まで、20冊を超す絵本や書籍の原画約250点を展示します。
『よるくま』原画(偕成社、1999年)
酒井のトレードマークとも言える黒色で下塗りした上に描く画風は、『ぼく おかあさんのこと…』(文溪堂)から定着しました。
『ぼく おかあさんのこと…』原画(文溪堂、
2000年)『金曜日の砂糖ちゃん』原画(偕成社、2003年) 『金曜日の砂糖ちゃん』原画(偕成社、2003年) 『ゆきがやんだら』原画(学研プラス、2005年) 『ビロードのうさぎ』原画(ブロンズ新社、2007年)
黒い下塗りがもたらす粗さと細やかさ。時に段ボールやボール紙といった素材を使い、『BとIとRとD』(白泉社)はコラージュも用いています。豊かな色彩、少女や動物たちの繊細な表情を間近に見ることができます。
『くまとやまねこ』原画(河出書房新社、2008年) 『BとIとRとD』原画(白泉社、2009年) 『BとIとRとD』原画(白泉社、2009年) 『森のノート』原画(筑摩書房、2017年)
酒井駒子プロフィール
1966年生まれ、絵本作家。絵本に『よるくま』『はんなちゃんがめをさましたら』(いずれも偕成社)『ロンパーちゃんとふうせん』(白泉社)など、画文集に『森のノート』(筑摩書房)。『きつねのかみさま』(作・あまんきみこ、ポプラ社)で日本絵本賞、『金曜日の砂糖ちゃん』(偕成社)でブラティスラヴァ世界絵本原画展金牌賞、『ぼく おかあさんのこと…』(文溪堂)でピチュー賞(フランス)・銀の石筆賞(オランダ)、『くまとやまねこ』(作・湯本香樹実、河出書房新社)で 講談社出版文化賞絵本賞を受賞。 『ゆきが やんだら』(学研プラス)はニューヨーク・タイムズの「2009年の子供の絵本最良の10冊」にも選ばれた。