PLAY! のオープンによせて

メンバーからのメッセージ

アーティスト、デザイナー、建築家、キュレーターなど、PLAY! はさまざまなクリエイターたちが関わってできています。6月10日のオープンに集結したPLAY! プロジェクトのメンバーからの感想とメッセージをお届けします。

撮影: 吉次史成

PLAY! のプロデュースを担当
草刈大介(ブルーシープ)

オープンできてうれしいです。ここにお客さんが来てくれている、ということが感無量。コロナの影響でオープンできないあいだも準備で通ううちに、PLAY! のミッションがよりはっきりしていきました。それは、「PLAY! は地元のものである」ということ。しばらくはまだ人々が遠くに行きづらい環境が続くなかで、地元のなかに溶け込んで、地元の人たちに普段から使ってもらえる場所になりたい。それを強化していこうと思います。
PLAY! MUSEUMは「絵とことば」をコンセプトに、誰でも入りやすくて楽しめる美術館です。エリック・カールやツペラツペラの展覧会のように、入り口は広いけれど、アートがもっている奥行きや奥深さに踏み込んでいけるようなラインアップをそろえています。「PLAY! MUSEUMの展覧会は他とはひと味もふた味もちがう」といってもらえるように、スタッフ一同がんばっていきます。

PLAY! の内装設計を担当

手塚貴晴(手塚建築研究所)

PLAY! MUSEUMは、絵本や夢の世界にいつの間にか入りこんでいくようなうず巻きの空間。PLAY! PARKは、子どもと一緒に遊べるところを作りたいと思って、子どもがお皿に入って完成するような空間を作りました。まわりには音楽を奏でるピアノがあったり、いつでもものづくりができる工房もあります。大切なのは、家族がいつも一緒にいられることです。
コロナの影響で、本当はやりたかった遊具など、今はできていないものもありますが、いつかできる日が来ると信じています。PLAY! のメンバーがこの状況をポジティブにとらえて、いろいろと新しいプログラムを提供していきますから大丈夫です!

手塚由比(手塚建築研究所)

できあがったPLAY! PARKはなんだかパーンと広くて、靴を脱いでリラックスできる感じもあっていいですね。PLAY! MUSEUMはできるだけ何もせず、展示そのものが生きて見えるように考えた空間なので、そこにふたつの楽しい展覧会がぴったりはまってうれしいです。これからもいろいろな展示が行われて、たくさんの人に使われていくことで味が増していくといいな、と思っています。

PLAY! のグラフィックデザインなどを担当 
菊地敦己

曲ったロゴマークを作ったり、天井からバケツを吊り下げたり、入り口に大きな積み木を転がしたりしました。建築もグラフィックも、みんな「完成しないもの」を目指していたように思います。きっちりした最終形ではなく、持続的にそこで何かが行われて、変化していける余地を持った空間ですね。
「こんな場所があるといいな」というイメージをゆるやかに共有しながら、作り手がそれぞれの技術を持ち寄って作ってきたプロジェクトなので、自由で楽しい仕事でした。
実は学生の頃、立川に住んでいたことがあるんですけど、当時は新しいお店や施設ができるとチェーン店や都心にあるものの類型がほとんどでした。PLAY! という、他ではちょっと見当たらない場所がここにできて、発信源となっていけたらとても嬉しいです。

PLAY! PARKのキュレーター
小栗里奈

PLAY! PARKには既存のすべり台やブランコはありません。本当はここに風船やダンボールで作った遊具を置く予定でしたが、コロナの影響で当面はありません。その代わり、この空っぽの広い空間を生かして、ライブやさまざまな遊びのプログラムを行なっていきます。自粛して閉じこもるのではなくて、子どもたちにも参加してもらいながら、この状況だからこそ楽しめる新しい遊びを開発していきたいと思っています。
例えば、PLAY! から飛び出して地域のことを知ったり、みんなでツペラツペラの展覧会とコラボして「かお」の地図を作ったり。ほかにも糸電話やジェスチャーでソーシャルディスタンスを楽しんでみるなど、今までにないプログラムをたくさんやっていきます。これからどうやって遊ぼうか、私自身も楽しみにしています!

PLAY! の総括、ショップやカフェのプロデュースを担当
脇谷哲朗(コスモマーチャンダイズィング)

コロナの影響でいろいろな変更が必要でした。だから今は、やっとオープンできた!と安堵の気持ちです。 PLAY! のコンセプトは「ありそうでなかった場所」。プロジェクトがはじまった3年前は「本当にできるのか」という不安もありましたが、オープンしてみたら、「これから本当に実現できそうだ」と自信がみなぎってきました。
PLAY! はいろんな感じ方ができて、想像力が湧いてくるような場所。ここに来てくれたお子さんが大人になった時、「ここに通っていたんだよ」と自分の子どもを連れてきてくれるようなことが起きたらうれしいですね。

企画展「tupera tuperaのかおてん.」を制作

亀山達矢(tupera tupera)

2年にわたって展覧会の準備をしてきて、2か月の延期を経てついに開幕。僕自身、オープンをとっても楽しみにしてきました。老若男女、たくさんの人に楽しんでいただきたいです。
「かおてん.」は、tupera tuperaにとって大切なモチーフである「顔」をテーマにした展覧会。できあがっての個人的な感想は、「いい感じ、いい感じ、とってもいい感じ」です!かおてん.に関わる人たちが、お互いにおもしろいことを提案しあいながらフルスイングしてくれて、とても気持ちよく展覧会の準備、制作を進めることができました。僕たちにとっても、これまでの活動の集大成であると同時に、次に向けてのスタートとしてふさわしいプロジェクトになったと自信を持っています。

中川敦子(tupera tupera)

今回、美術館のコンセプトも空間も、「すべてがスタート」という段階から経験することができました。各分野のプロフェッショナルたちから刺激を受けながら、新しいものが立ち上がるときの努力や葛藤もふくめて、作り手として特別で幸せな時間となりました。愉快な大人たちが集まって、思いっきり遊びながら作った空間と展示なので、それぞれの見方や感じ方で楽しんでもらえたらうれしいです。
この展覧会を見ていただいたら、大人も子どももうずうずしてきて、「自分も何か作りたい」とか「手を動かしたい」という気分になるかもしれません。作品は家の中や公園など身近にあるものでできているので、ぜひおうちでも顔遊びを楽しんでみてくださいね。

常設展「エリック・カール 遊ぶための本」の企画を担当
服部彩子

「はらぺこあおむし」をはじめ、エリック・カールさんの絵本は世界中で多くの人々に愛されています。日本でも数多くの原画展が行われてきたなかで、今回は「半分おもちゃ、半分本」というカールさんの言葉をヒントに新しい切り口の展覧会を企画しました。
小さな子どもが、感覚中心の遊びの世界から、秩序と理屈のある世界へと旅立っていく時期に興味を持ち、おもちゃとしての本の可能性を探求したカールさん。みんなが知っている絵本の世界の新しい一面に触れていただけると思います。会場も、カールさんの遊びの精神に通じるデザインになっています。壁に穴を見つけたらのぞいてみてくださいね。きっと楽しい発見があるはずです。

TOPICS

「あの空間にどんな文字があったら楽しいか」
「PLAY! MUSEUMは、そこで起きた"できごと"が積み重なっていくような場所」
常設展「エリック・カール 遊ぶための本」