エリック・カールの絵本の新しい一面

常設展「エリック・カール 遊ぶための本」

会場撮影: 吉次史成

PLAY! MUSEUMでは、企画展と常設展のふたつの展覧会を一度に楽しむことができます。PLAY!のオープンを記念する常設展「エリック・カール 遊ぶための本」(2021年3月28日まで)は、人気絵本『はらぺこあおむし』で知られるエリック・カールさんの絵本の秘密に迫る展覧会です。


そもそもなぜ、最初の常設展でエリック・カールさんを取り上げるのかというと、

「PLAY! MUSEUMでは、絵本の原画をできあがった作品として眺めるのではなく、展示空間もふくめて新しい楽しみ方を見つけていくような展覧会を作っていきたいんです。エリック・カールさんは絵本の作家として知られていますが、実は誰かに見せるためでなく、自分の楽しみとしてコラージュや立体作品をスタジオのなかで作っているんですよ。入り口は広いんだけれど奥行きがある。そういう作家がトップバッターとしてふさわしいと思ったんです。」(PLAY! プロデューサー 草刈大介)

エリック・カールさんの絵本の原画展はこれまで日本で何度も行われてきたので、「ありそうでなかった」がコンセプトのPLAY! でやるためには新しい切り口が必要でした。それが「遊ぶための本」です。

はらぺこあおむしの食べた跡が穴になっている仕かけは有名ですが、ほかにもページがいきなり倍の大きさに広がったり、音や光が出たり。エリック・カールさんの絵本にひそんでいるこうした数々の仕かけに注目し、それをおもちゃに見たてて、「うごかす」「みつける」「きく」など、10の遊びのしぐさに分けて紹介することにしました。

エリック・カールさんは、小さな子どもが感覚中心の遊びの世界から、秩序と理屈のある世界へと旅立っていく時期に興味をもっていました。どうしたら子どもがその世界に引き込まれていくか、遊びながら学びを引き出すことができるか。おもちゃとしての本の可能性にフォーカスすることで、みなさんが知っている絵本の新しい一面を発見してもらえると思います。(本展企画担当 服部彩子)

確かに小さな子どもにとっては、本だって遊びのためのおもちゃ。カールさんはそのことをよく理解したうえで、子どもが楽しく遊んでいるうちに、自然の摂理や数の数え方を体得していくような仕かけをたくさん考えて、絵本に盛り込んだのです。

もちろんアメリカ・マサチューセッツのエリック・カール美術館から届いた絵本の原画もとてもすてき。色とりどりの色がみをコラージュして作った絵はどれも表情豊かで、カールさんの繊細な感性や仕事ぶりに触れられるのはやはり原画展ならではの楽しみです。(エリック・カールさんのコラージュの技法にならったワークショップは上階のPLAY! PARKでも行われます!)

会場も、おもちゃのような空間になっていますよ。小さな入り口をくぐったり、穴をのぞき込んだりしながら進んでいくなかで、原画に出会える仕かけです。壁面には、絵本の見返しに使われている模様や、原画の一部を引き伸ばしたグラフィックが描かれていて、絵本の世界に入り込んだような気分になれるかもしれません。

ほかにも、

「絵本に登場する生き物がユニークで魅力的なんです。出てくる魚もコノハウオや、ヘヤラガラなどちょっとマニアックで、生き物が大好きなカールさんらしい一面も。そんなふうに、大人も子どもの目線でもう一度エリック・カールさんの絵本の世界を楽しめる要素が散りばめられています。」(服部)

有名な作家だからこそ、みんなが「よく知っている」と思い込んでいたエリック・カールさんの絵本の世界を新しく発見する機会になりそうですね。会期の途中で作品の入れ替えがあるので、11月2日からはじまる後期展示もどうぞお楽しみに。