どうぶつかいぎ展、はじまりました!

PLAY! 内覧会のようす

撮影:高見知香

エーリヒ・ケストナーの絵本『動物会議』をテーマに、8人のアーティストがそれぞれの作品でリレーする「どうぶつかいぎ展」が2022年2月5日(土)より始まりました!

開幕前日にはプレス内覧会が開かれました。

プレス内覧会にて


展覧会を企画したPLAY! プロデューサーの草刈大介は「複数の作家でつくるグループ展で、新作を発表する展覧会は今回が初めてです。とても真面目なテーマを、ユーモアやかわいらしさとともに伝えていく展覧会です。」とあいさつしました。

内覧会では出席した6人のアーティストが展覧会や自身の作品について話しました。

梅津恭子(ぬいぐるみ作家)

第1幕「まったく、人間どもったら!」を担当。
北アフリカのチャド湖のほとりで、ゾウ、ライオン、キリンの3匹が一杯やりながら人間たちに怒っているシーンを、大きなぬいぐるみ作品で表現しました。

今回の作品制作はいかがでしたか?
深く考えずに、おもしろそう、やってみようと思って、絵本『動物会議』を読むところから始めました。
難しいことは考えずに、背伸びをせずに、とにかくシンプルに、ゾウとライオンとキリンを作ろうと思いました。

他のアーティストさんの作品を見て、いかがでしたか?
絵本を読んだときの感想とちょっと似ているなと思いました。
絵本では、いきなり自分たちが怒られるような展開から始まって、どんどんハードな内容になっていくのに、絵はすごくかわいいですよね。それと近いものを展示にも感じます。
単純に動物を楽しむ展示もあれば、深くテーマを考えさせるような展示もあったり、動物好きの方にはたまらないと思います。

梅津恭子さん


秦直也(イラストレーター)

第2幕「動物ビルで会議があるぞ!」を担当。
「きょうからきっかり4週間、動物ビルで会議があるぞ!」と世界中にいる動物たちに連絡係が伝達するシーンを、110点の絵で表現しました。

流れがあるような展示の仕方には、何かイメージがあるのでしょうか?
毎日Twitterで、その日思いついたアイデア(絵)を1枚アップしています。
それぞれの絵がランダムに個として並んでいるのは、動物一匹一匹の個性を活かせると思ったからです。

トリアーの絵を見て、作品に盛り込んだことはありますか?
原作ではさまざまな動物たちがまとまって一斉に動きますが、この展示では個の習性、特徴を活かしたいと思いました。
例えば、うさぎは耳が大きくて、耳がいいけれど、本当はそれを煩わしく感じているんじゃないかとか。
動物の目線でもあり、自分自身の目線でもあり、その先を鑑賞者に想像してほしいというイメージで作りました。

秦直也さん

植田楽(造形作家)

第4幕「世界一へんてこな動物ビル」を担当。
「動物会議」が行われる、世界一へんてこで、たぶん世界一大きな「動物ビル」のシーンを、セロハンテープと紙で作った動物で表現しました。

なぜセロハンテープで動物を作っているのでしょうか?
セロンハンテープが、一番身近にあるものだからです。
はじめは、粘土はどうだろうかと考えていましたが、すぐになくなってしまうし、無限に手に入らないですよね。
セロハンテープや紙は、無限に手に入るイメージがあって、安心して使えるなと思いました。

今回どんな動物を選びましたか?
現在生存している動物以外に、絶滅しそうな動物たちをなるべく多く紛れ込ませました。
人間のさまざまな行動に影響を受けて、絶滅していったり、命を奪われたりしている動物もいます。
絶滅危惧種のほうが、人間に訴えかけやすいかなと思いました。

植田楽さん

菱川勢一(映像作家)

第5幕「子どもたちのために!」を担当。
いよいよ始まる動物会議。動物たちが思い思いに発言するシーンを、音や映像、立体のインスタレーションで表現しました。

クマの「ような」とか、ライオンの「ような」とか、抽象的な表現にしたのはなぜですか?
動物園に行って「あれがライオンだよ」となるより、何かわからないけど茶色い大きい動物、ということでいいなと思うんです。
昨今の多様性にも関わっていて、人は外観で判断してしまいますが、本当のところは分からない。その謎めいたところこそが、それぞれの個性。そういうことを悶々と考えながら作っていました。

ユニークな展覧会の企画についてどう思いますか?
僕自身がすごく楽しみでした。
グループ展の醍醐味だと思うんですが、大きなテーマに複数の作家さんたちがそれぞれの表現で集まってくるので、事前に何にもわからないんですよね。
設営の時にみなさんの作品が見えてきて、誰より真っ先に楽しんでいました。子どもたちの反応も楽しみです。

菱川勢一さん

junaidaさん(画家)

第7幕「人類がふるえあがった日」を担当。
会議から人間と動物のやりとりを経て、いよいよ動物たちが大人たちから誓約をかちとった様子を、ポスターで表現しました。

なぜポスターという形態を選んだのでしょうか?
ポスターは部屋の飾りである一方で、多くの人たちに情報を広めていく、そういう役割も持っているものです。
ケストナーの声を代弁するのに、ポスターという媒体がぴったりなんじゃないかなと思いました。

モチーフの子どもが目隠しをされているのはなぜですか?
まず、「本の中に描かれていないことを盛り込みたい」ということが最初にありました。
実は絵本には、子どもがさらわれた時、彼らが何を考えていたか、どんな様子だったか、というのはあんまり描かれていないんですよね。
鑑賞者たちがこの絵を見たときに、この子どもがどんな眼差しでその光景を見ていたのかを思い浮かべてもらえたらいいなと思って、目を覆うことにしました。

junaidaさん

ヨシタケシンスケさん(絵本作家)

エピローグ「動物会議はつづく」を担当。
『動物会議』が終わった後の物語を、オリジナルのイラストとストーリーで表現しました。

「動物会議の最終日」という作品を作ったのはなぜですか?
物語を読んでいるなかで、僕なりに考えたことを別の形にまとめてみたものがこの作品です。動物会議が終わったときに、こんな1シーンもあったんじゃないかなと。

『動物会議』は初めて読まれたと聞きましたが、読んだ時は何を感じましたか?
今回改めて読んでみて、すごくびっくりしました。
一言で言うと、「人間は人間の問題を解決できない」という話なんだと理解して、これはなかなか刺激的だなと思いました。
それを絵本という形で子どもに伝えているということが、表現においてすごく高度なことをしているなあと。びっくりするのと同時に面白いと思いました。

ヨシタケシンスケさん

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企画展示「どうぶつかいぎ展」
2022年2月5日(土)ー4月10日(日)*休館日:2月27日(日)
企画展示「どうぶつかいぎ展」
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