2021年11月20日(土)-2022年1月30日(日)の間、PLAY! MUSEUMで開幕した企画展示「柚木沙弥郎 life・LIFE」。
柚木さんの作品や人柄は、世代を問わずたくさんの人を惹きつけています。
今回の展示に関わったみなさんや、柚木さんと親交があるみなさんに、今回の展覧会の感想を聞きました。
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みなさんへの質問
Q1. 展覧会はいかがでしたか?
Q2. おすすめの作品1つとそのポイントは?
Q3. おすすめのグッズかカフェメニューを教えてください。
岩立広子さん(岩立フォークテキスタイルミュージアム館長 *2021年12月定期的な展示を終了)
女子美術大学在学中、柚木さんに師事。テキスタイル収集家として、柚木作品も多数所蔵する。
80年代に柚木さんとともに行ったインドの村々をめぐる旅では、柚木さんに現地のテキスタイルを紹介。
A1.
布のもつ軽やかさ、風になびいて広がっていく自由さ。そして99歳とは思えない、色や形の明るさ。
日常の中に溶け込むアートとして、布の可能性を見せてくれました。
年を重ねるごとに削ぎ落とされていく柚木の表現。一本の線に込めた思いが伝わってきます。それは苦労の末、というよりは、今の暮らしの中で自然に手が動いてできた、誰もが楽しめるシンプルな表現だと思います。
大島忠智さん(IDÉEディレクター)
2012年、IDÉEのwebマガジン「LIFECYCLING」での出会い以来、柚木さんと商品開発や展示会などのプロジェクトを行う。これからの暮らしについて柚木さんと語り合った書籍が2022年1月に刊行予定。
A1.
絵本の原画からスタートして、人形作品、ポスター、柚木さんのフォークアートコレクション、そしてクライマックスの布の森まで、とても見応えのある展覧会でした。
とくに布の森は圧巻で、ずっと眺めていたいと思うほど素晴らしい展示でした。
A2.
どの作品も異なる良さを感じるのでどれか一つを選ぶのは難しいですが、立体人形は昔からとても好きな作品で、ここまでたくさん集まった人形を観れてとても感動しました。
表情や着ているものなどが本当に一つ一つ細かく異なるので、ワクワクしながらゆっくりと楽しみました。
A3.
おすすめのグッズは、イデーで柚木さんと制作しているオリジナルのDailyシリーズ。中でも、アルファベットの靴下のレッドは、展覧会限定カラーでお薦めです。
あと、カフェのメニューにあるアルファベットのラテアートは、私が所蔵している布作品がモチーフになっていて、いたく感動しました。
伊藤康さん(福音館書店 編集者)
編集長を務める雑誌『母の友』で、柚木さんをインタビュー。
A1.
柚木さんの多彩な面を感じることができてわくわくしました。
ちょうど「母の友」2021年12月号の特集内で”好きなものの見つけ方”といったお話をうかがったばかりだったこともあり、展示されていた、おもちゃなど、柚木さんの私物を楽しく眺めてしまいました(取材でご自宅にうかがいますが、そういうときは、ものをじいっと見るわけにもいきませんし)。
A2.
絵本原画は、出版社の社員もあまり見ることができないので貴重だと思います。画材や技法も多様でおもしろいので、絵をじっくり見てから、絵本を読むと、楽しさが増すような気もします。
また、最後の布作品に圧倒され、東日本大震災の後で世田谷美術館であった「いのちの旗じるし」という展示を思い出しました。柚木さんの、ぼくもわくわくしているし、みんなにもわくわくしてほしいな、生きていこう、という思いが勝手ながら伝わってくるようでした。
A3.
実は、自分が購入したのは靴下でしたが、もちろん『ぎったんこばったんこ』など絵本がおすすめです。
1、2歳の子とさえ一緒に楽しめる柚木作品って、考えてみるとすごいこと。
12月下旬には柚木さんが70代にして初めて手がけられた絵本『魔法のことば』も復刊されるそうなので、楽しみです。
永岡綾さん(編集者)
2022年1月発売予定の「柚木沙弥郎 life・LIFE」関連書籍の編集を担当。
A1.
「布の森」は圧巻でした! 親しみやすいけど、気高い。しなやかだけど、骨太。揺るぎないのに、自由。一枚一枚の布に、柚木さんそのものを感じます。
A2.
型染めが素晴らしいのはもちろんですが、人形たちがたまらんです。見れば見るほどじわじわきます。
A3.
布の手ざわりまで感じられそうな図録、『柚木沙弥郎 life・LIFE』です。
そして……IDÉE 大島忠智さんが柚木さんとの10年間を語り下ろす『柚木沙弥郎 Tomorrow』が2022年1月に発刊予定です。
ただいま絶賛制作中。お楽しみに!
角舘まさひでさん(照明家)
「柚木沙弥郎 life・LIFE」会場の照明計画、ライティングデザインを担当。
A1.
立体物の展覧会の照明計画はワクワクします。通常の展示空間に対して、様々な空間性が照明によって変化します。
今回は作品によって光源の色温度※を変える新しい手法にチャレンジしました。
※色温度:光の色を表す尺度のこと
A2.
絵本のストーリーや立体的な布の迫力をただ感じてもらえたらと思います。