PLAY! インタビュー 子どもも大人も!一冊まるごと顔のワークブック『かおPLAY!』
展覧会「tupera tuperaのかおてん.」のために出版された新しい本『かおPLAY!』。中身はもちろん、表紙から帯まで、一冊まるごと顔で遊べるワークブックになっています。子どもも大人も楽しめる『かおPLAY!』について、tupera tuperaのふたりにたっぷり聞きました!
展覧会の図録というよりはワークブック
Q 本のアートディレクションとグラフィックデザインは、Allright Graphicsの高田 唯さんと齋藤拓実さん。まず、表紙がインパクト大です!
亀山達矢 デザインパワー炸裂ですよね。表紙の構造などブックデザインは、高田さんと齋藤さんのアイデアです。これ、帯の裏が「必笑(ひっしょう)ハチマキ」になっているんですよ。「帯の裏も遊べますよね〜」という高田さんの投げかけに応えて考えました。
表紙のカバーを開くと、「スーパーご長寿SHIWA MEIRO(しわめいろ)」。これ「PLAY! MAGAZINE」創刊号で載せた時よりもさらに絵が細かくなって難しい。まあ、やる気をなくすくらい難しいです。
中も、顔にまつわる遊びのページがたくさんあって。ときどき展覧会の作品も出てきますが、基本的にはバラバラの状態で、どのページからやっても自由です。展覧会の図録というよりは、展覧会の前も後も楽しめる「かお」をテーマにしたワークブックです。
中川敦子 これは「4カオマンガ」といって、空白になってる顔の部分を自分で書き込んで、マンガを仕上げるというもの。これは「めかくし自画像」。目をつむって自分の自画像を描くんですけど、意外に名作ができるんですよ。ほかにもHBとか薄い鉛筆を使って「印象の薄い人を描いてみよう」とか。
亀山 これはまるいシールだけでまるい顔を作ってみるコーナー「まるごとまるがお」です。モデルは、エンペラー「リツ・エンシュウ」、演歌歌手「まん まるぞう」、エンターテイナー「まるだ せいこ」……
本もみんなで遊びながら作った
Q なぜ、ワークブックというかたちにしたのですか。
亀山 まず、展覧会に合わせて本を作るならどんな本がいいかいろいろ考えて、ここはPLAY! という遊びの施設だから、「PLAY! と顔をくっつけたらいい」って思ったんですよね。本でも、顔で遊んじゃおう、って。
本の作り方もふだんと全然ちがいました。ふだんは僕ら、原画から絵本のかたちになるまで、ブックデザインもすべてセルフディレクションをすることが多いんです。
でも今回は、とにかくまずふたりで片っ端からアイデアを出しまくって、バラバラに作ったものを寄せ集めて、それらを編集者の永岡 綾さんが一冊の本としてまとめていってくれました。
中川 これは「枝野ポキ子」っていう、地面に落ちている枝をポキポキしながら作った顔なんです。そこに永岡さんが「枝野ポキ子のゆううつ」という文章を寄せて、ドンピシャな仕上げにしてくれました。
亀山 この本も展覧会と同じように、みんなで遊びながら作った、という感じ。僕らの著作物というよりは、デザインも、編集も、印刷製本も、各分野のプロの皆さんによる徹底的なテクニックと、遊び心、そして「あうんの呼吸」でできているんです。
中川 時間や予算などいろいろな制約があるなかで、皆さん「やってやるぞ!」という気概で引き受けてくださった。それがパワーになっていますよね。
おうち遊びにもぴったり!
Q 外出ができない状況が続いていますが、『かおPLAY!』はおうちで遊ぶのにうってつけの本ですね。
亀山 東日本大震災の時、『かおノート』を避難所の方に送ったことがありました。愉快で変な顔ができて、まわりの人に見せると、面白いね!って笑顔が連鎖していって場が少し明るくなる。顔というのは、言葉を超えて人と人の関係を作る、とても大切な存在なんだなと再認識させられました。
『かおPLAY!』も、いろんな愉快な顔を一冊に閉じ込めたワークブックなので、きっとおうちのなかを明るくしてくれると思いますよ。
中川 絵本って「子ども向け」と思われることが多いんですけれど、自分たちでは決してそうは思っていなくて。赤ちゃんからおじいちゃんおばあちゃんまで、みんなで楽しんでほしい、と思って作っているんです。
『かおPLAY!』も子どものためだけの本にならないよう、中学生も大人の方にも楽しんでもらえるように、絵はもちろん、文章や言葉づかいも心を配って作りました。
「何かしなきゃ」とプレッシャーを感じなくてもいい
Q ほかにもなにか、おうちでできそうな遊びってありますか。
中川 実はいろんな人から聞かれるんです、「家で遊べることないですか」「家で何をやっていますか」って。なんとなく今、おうちにいる時間を有意義に使おう、みたいな雰囲気があるじゃないですか。
私もがんばって、いつも以上にテンションあげて「さあ、一緒に勉強やってみよう!」って、子どもたちに声をかけてみるんですけど、ちっとも届かなくてガッカリ(苦笑)
ネットでは、すてきなおうち遊びや知的なおこもりがたくさん紹介されていて、それなのに「自分はなにもさせられていない」って落ち込んだり…でもね、昨日なんかもう何も言わないで、放っておいたんですよ。
そうしたら、いつもはケンカばかりしている子どもたちがケラケラ笑いながらずっと一緒に遊んでいて。弟も、姉が相手してくれることが嬉しくて、夜まで満面の笑みで喜んでいました。
それを眺めていたら、この時期に自分たちのことを高めようとがんばりすぎなくてもいいんじゃないかな、って思えたんです。
亀山 あ、僕は、風船バレーやりましたよ。
中川 PLAY! の風船でね。オープンが延期になって余っていたから。なので、「何かやらなきゃ」ってプレッシャーを感じなくても、あえて放っておくとか、あえてゆるゆるすごす、でもいいんじゃないかな、って。
亀山 『かおPLAY!』も、あいた時間に鼻ほじりながら遊んでくれたらいいなあ、と思っているんです。
tupera tupera『かおPLAY!』
全国書店、オンラインではBlueSheep Shop、Amazonにて販売中
*BlueSheep Shopでは特典のポストカードつきで販売
発行:ブルーシープ
価格:2,000円(税別)
A4変型、112ページ、並製本
デザイン:高田唯、齋藤拓実(Allright Graphics)
詳細はこちら
YouTubeでtupera tuperaさんが『かおPLAY! 』を紹介!
さあ、みんなで、ENJOY かおPLAY!