2024.07.16更新
展覧会オリジナルグッズについて
7月17日(水)10:00から、PLAY! オンラインショップで一部グッズを特別販売します。
*在庫がなくなり次第終了です
また、会えましたね。
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芸人で漫画家、カラテカ矢部太郎が挑む初の大規模展覧会。
展示情報から制作秘話、矢部作品が確かな評価を得る理由までを紹介します。
①ふたりが暮らしたあの家に、「おかえりなさい」
80歳を超す大家さんと矢部太郎の出会いから別れまでを描いた名作フィクション『大家さんと僕』(新潮社、2017年)。会場には、大家さんが来場者の「帰宅」をお出迎えするインスタレーションが登場します。来場者みずから作中の名場面の一部となって楽しむことができる、PLAY! MUSEUMならではのユニークな鑑賞体験です。
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また、展覧会のためにアクリル絵の具で制作した約100点の描き下ろし作品のほか、大家さんが語る疎開の思い出や、ふたりならではの窓越しのコミュニケーションを描いた「ライトとおやき」の紙芝居を上映。そして多くのひとびとの涙を誘った最終話『大家さんと僕 これから』の空飛ぶふたりも映像化されます。ふたりが交わす最後のことば、別れの中にも光る大家さんのユーモアは、本展のハイライトのひとつです。
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② 「たろう」が「矢部太郎」になった日
絵本・紙芝居作家 やべみつのりを父に持つ矢部太郎はかつて、父の家族絵日記「たろうノート」の主人公「たろう(=ぼく)」でもありました。いつも家にいて、おやつは野山で調達、そしてたろうの友達と、まるで自分も子どものように全力で遊ぶ父。普通とはなんだか違って、ちょっと恥ずかしくて、でも、やっぱり好き。父との時間はいつも創作に満ちて、やがて幼いたろうは父のすすめで「たろう新聞」をはじめとする作品づくりに、その手を動かし始めたのでした。 その半生をたどるように「たろうノート」「たろうしんぶん」の現物を初公開するほか、父子を現在の矢部が見つめ直し描いた『ぼくのお父さん』(新潮社、2021年)を紹介。当時親子で住んでいた、東村山市での暮らしぶりを体感する映像インスタレーションも展示します。子育ての迷いや老いに対する動揺、家族の在り方など、現代に生きる心を解きほぐす手がかりを、矢部家のひとびとが教えてくれます。
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③矢部作品の新境地
『大家さんと僕』、『ぼくのお父さん』に続いて矢部が描いたのは、出番を待つ動物園のトナカイが主人公の『楽屋のトナくん』(講談社、2022年)、認知症患者と家族の日常を描く『マンガ ぼけ日和』(原案:長谷川嘉哉/かんき出版、2023年)、3月27日に発売されたばかりの最新作『プレゼントでできている』(新潮社、2024年)。その観察眼は切れ味を増しながらも、穏やかな筆致から世界の真理に迫りゆく矢部の思索の旅は、作品の垣根を越え、脈々と続いています。
本展のために展示される実際の「プレゼント」には、実は作品本編には登場しない「番外編」。どんなエピソードが紐解かれるかは、会場でのお楽しみです。
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④子どもたちと「宇宙の旅」へ
PLAY! といえば、美術館と遊び場からなる、大人も子どももとびきり楽しい場所。
今回はやべみつのり監修のもと、遊び場・PLAY! PARKで、子どもたちが作る「宇宙船」がなんとそのままPLAY! MUSEUMに展示されます。自分たちが作ったものが展覧会の仲間入り、なんて珍しいチャンス!新しい試みに期待が高まります。
ただし、制作日は「4月21日」……なんと、開幕3日前なのです。
「ふたり 矢部太郎展」の会場に着陸する宇宙船の完成、乞うご期待!
併設のSHOP、CAFEにも続く矢部太郎ワールド!
「おでかけ」に使う風呂敷、「おしゃべり」はカステラとほうじ茶をいただきながら、「おくりもの」にはおはぎのバースデーカードを。PLAY! SHOPでは矢部太郎の漫画の空気感をそのままに、生活のシーンに合わせたグッズを多数用意しました。ふたりで使っても、ひとりで使っても、やさしい気持ちになれるアイテムたちです。本展描き下ろしの絵をあしらったグッズもお楽しみに。
またPLAY! CAFEでは、昔懐かしい、レトロな喫茶店をイメージした限定メニューが並びます。硬めの薄焼き玉子で包むノスタルジックなオムライスや、優しい大家さんをイメージしてマイルドに仕上げたカレープレートといった喫茶店らしいメニューはもちろん、『大家さんと僕』の印象的なシーンを再現したデザートも登場!矢部太郎展ならではの要素も見逃せません。
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さらにPLAY! MUSEUMの上階、子どもの遊び場のPLAY! PARKでも続く矢部太郎ワールド。矢部さんの描く物語を追体験するように、漫画のワンシーンや台詞から着想を得たワークショップを開催します。思わずクスッとしてしまうユーモアを交えながら、創作のよろこびをめいっぱい感じてみましょう。
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★展覧会関連イベント(予定)
会期中、矢部太郎さんが即興で絵を描くイベントも開催予定。詳細は後日PLAY! ウェブサイトで発表します。
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矢部太郎(やべ・たろう)
1977年東京都東村山市生まれ。芸人・漫画家。吉本興業所属。
1997年に「カラテカ」を結成。お笑い芸人としてだけでなく、舞台やドラマ、映画で俳優としても活躍している。初めて描いた漫画作品『大家さんと僕』で第22回手塚治虫文化賞短編賞を受賞し、シリーズ累計では120万部を突破。その他の著作に、絵本作家である父との幼少期の思い出を綴る『ぼくのお父さん』、人気者になりたい動物たちの楽屋での姿を描いた『楽屋のトナくん』、認知症患者とその家族の日常を描いた『マンガ ぼけ日和』がある。2021年から手塚治虫文化の外選考委員を務める。