アニメ「コジコジ」のエンディングテーマ(第二期、1999年〜)を手がけ、さくらももこさんとも親交のあったカジヒデキさんがコジコジ万博に遊びに来てくれました!
展覧会のこと、さくらさんのことについて、お話を聞きました。
取材・執筆:いまむられいこ
会場写真:清水奈緒
―コジコジ万博の展示はいかがでしたか。
カジ どれもおもしろいですが、お気に入りはエモーショナルフレンズヒーリングゾーンですね。なんともいえない、モヤモヤするような、でもリラックスできるような空間がよかったです。
もちろん原画も最高です!僕はコジコジの細かく描き込まれた扉絵が好きで、今回原画を見るのは初めてだったので嬉しかったですね。
―さくらさんとの親交は?
カジ 友人のミュージシャンのライブにさくらさんがいらした時に紹介してもらったのが初めて。いろいろと話すようになったのは98年頃ですね。僕が電気グルーヴに代わってエンディングテーマをやらせてもらってからです。
さくらさんから「ジョニーとハレハレ君のことを歌詞にするので曲を書いてほしい」と言われて。もともとさくらさんのファンだったので、一緒に作品を作れることが本当に光栄でした。
ちょうど3枚めのアルバムをスウェーデンで制作するところだったので、一緒にこの曲も作りました。レコーディングしていると、さくらさんからFAXで歌詞が送られてきたのですが、ふたりの気持ちがちゃんと歌われていてすばらしいな、と感動したのを覚えています。
―さくらさんはどんな方だったのでしょう。
カジ とにかく明るいし、人を楽しませようとしてくれます。ご自宅に遊びに行くと、さくらさんが寸劇や面白い話を延々としてくれて、たまに毒づいたりもしながら、笑わせ続けてくれました。会えば元気をくれるので、いつまでも話をしていたいし、話を聞いていたい。
僕自身のなかでは、クリエイターとしても人間としても「同志」という気持ちでした。大衆に訴えかけるメジャーな世界と、コジコジのようにある意味繊細な世界を、両方もち合わせているのがさくらさんの魅力だと思いますが、それは実生活でも垣間見られましたね。ミーハーなものもマニアックなものも同じくらい大好きな方でした。
―その振り幅のバランスがいいということなのでしょうか。
カジ 突き抜けてるって感じですかね。メインもマイナーもなく、すべてに対して分け隔てがない。何かに固執するわけではなく、すべてを受け入れる。しかもセンスよく。センスが大事で、そこがさくらさんは素晴らしいんです。
―分け隔てなく受け入れるのは、コジコジに通じますね。
カジ そう、コジコジの世界ってまさにさくらさんって感じがします。ちびまる子ちゃんもさくらさんらしいけれど、僕にとってコジコジは、よりさくらさんらしいんです。
―カジさんが好きなキャラクターはジョニーとハレハレ君と伺いました。
カジ 今でいうジェンダーを超えた感じを、1990年代にちゃんと表現されていたのもいいと思ったし、なんといってもふたりのピュアな関係とか、純粋な気持ちのやり取りが好きなんです。
―最後にメッセージをお願いします。
カジ さくらさんだけではなく、さくらプロダクションも色んなことを否定することなく受け入れる体制や風土があるんですよ。みんな楽しんで取り組んでいる。
コジコジ万博も、コジコジを好きな作り手たちが裏側で楽しくやっている感じがとても伝わってきます。コジコジ愛にあふれている展覧会です!
―ありがとうございました!
カジヒデキさん
シンガーソングライター、ミュージシャン、音楽プロデューサー。1986年より音楽活動を開始。90年代の渋谷系を牽引し、現在もネオアコースティック、ニューウェイブ、ポストパンクをベースに音楽的な領域を拡げている。
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