フォトエッセイ「レッツ・PLAY!」加瀬健太郎さん

立川の、いろんな楽しみ方

PLAY! がある「立川」は、親子連れも大人も楽しめる街ですが、その魅力は意外と知られていないかもしれません。このたび、さまざまな分野で活躍するクリエイターたちにPLAY! や立川を散策してもらい、日々変わりゆく・生きている街の面白さを捉えたエッセイを書いてもらいました!
第一弾は、写真家・加瀬健太郎さんによるフォトエッセイ「レッツ・PLAY! 」。息子4人を引き連れ、まずはPLAY! に来場!

朝、「どこかいつもと違うところに行く」というだけで、
興奮気味の子ども4人(小6、小4、5歳、1歳)を車に乗せて出発。
立川駅前を通ると、「立川なんかいいじゃん」と長男。
家の近所より都会なのが「なんかいいじゃん」らしい。
イケアの横を通ると、今度は妻が「イケアにいけや」とダジャレを言う。
僕は軽く流して、もちろんイケアには行かず、PLAY! MUSEUMを目指す。
駐車場に到着。
車を停めてすぐのエレベーターで上の階に上がると、
驚いたことに、もうそこはPLAY! MUSEUMだった。
いつもは、自分勝手に走り回る子ども達を羊飼いの如く、
駐車場から目的地に連れて行くだけで一苦労なので、ここの駐車場はすごくよかった。

まずは、待望の「コジコジ万博(現在は会期終了)」。
僕の影響で(小学校の時、まんがクラブ所属)三度の飯よりマンガ好きになった次男はコジコジも大好きで、案の定、食い入るようにして原画を見入っていた。よしよし。
三男は「物知りじいさん」をずっと見ていた。
基本、空気で首が伸びて縮むだけなのに、飽きずに見ていた子ども力に感心。ふむふむ。
四男は「エモーショナルフレンズヒーリングゾーン」の部屋が暗くてびびっていた。かわいい。
意外だったのは、コジコジを読んだことのない妻が、
「すっごい面白いね。帰ったら漫画読まなきゃ」
と涙を流して笑っていたこと。
しめしめ。

お昼ごはんは、ミュージアム内のカフェにいく。
コジコジ展示期間中は、カフェが「カメ吉茶屋」になっていた。
あの、やかん君が淹れるお茶が飲めるなんて(という設定?)、考えた人すごい。
食いしん坊の長男が「この肉うまっ」と
「ゲランの王様ランチ」にがっついていた。
肉ならなんでもうまいと言う長男の舌は基本信用してないが、
王様ランチは本当においしかった。
そして、次男は「カメ吉茶屋 日本茶セット 豆皿付き」に、
いたく感動したらしく、家に帰ってからも、
持ち帰れる豆皿に塩昆布を乗せて、日本茶を飲んでいる。

みんな、おなかがいっぱいになって、パークにいく。
パークの真ん中にある「大きなお皿」に入る。
ここでは、子どもは放っておいても勝手にずっと遊んでいる。
それに面白いのは、お皿の傾斜部分にリラックスし過ぎたお父さん、お母さんたちがマグロのように寝っ転がっていること。
不思議な空間だ。家のようで家ではない。公園のようで公園でもない。
テーマパークのようでテーマパークでもない。べんべん。
それは何かと尋ねたら、パーク、パーク…。
僕も寝っ転がってみた。外出中なのに、家にいるかのようなリラックス感、不思議。

パーク内でオバケを作るワークショップに参加する。
大きな白い布を切って、絵を描いて作る。
次男が大きな唇を描くと、長男も三男も真似て唇を描いていた。
すぐに真似てしまう感じが、子どもの頃の図工の時間を思い出して懐かしい。
長男のオバケは怖く作ったつもりが、頭全体が出る仕様になっていて、
ひとりだけ、メキシコの民族衣装みたいで笑えた。

まだまだパークで遊んでいたいという子ども達と外に出るともう夕方。
元は滑走路のある基地だったところに作られた、すごく長い水の階段で遊ぶ。
びしょ濡れになって大暴れ。
それから、芝生の上で寝っ転がった。気持ちいい。
さっきの水の階段といい、この芝生といい、
中に入って遊べるところって、意外とあるようでない。
ほとんどの場所って、大人が大人の都合で作ってるから、
「〇〇したらあかんよ」と子どもに言い続ける事になって、僕も子どもも疲れてしまう。
でも、ここはずっとマグロになって寝てられるなと思った。

帰り道、「今日は遊び切ったな」という気持ち。
車に乗るなり、みんな寝てしまう。
基本、車の運転は好きじゃないけど、
「家族が寝ている中、ひとり車を走らせる父親」
に憧れがあるので、全然苦にならない。
家に到着。寝てしまった子どもをベッドに運び、
妻の枕元にコジコジ全3巻を置いて僕も寝た。

妻のPLAY! MUSEUM、ここがいいのコーナー。
・天候を気にしないで遊べるところが○。
・芝生がいい。シートとテーブルも借りられて○。
・くたくたに遊び疲れて、夜の寝かしつけがいらないのが○。

加瀬健太郎(かせ・けんたろう)

写真家。1974年大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、イギリスに留学。 London College of Communicationで学ぶ。 著書に『スンギ少年のダイエット日記』『お父さん、だいじょうぶ?日記』『お父さん、まだだい じょうぶ?日記』(リトルモア)、『イギリス:元気にジャンプ!ブルーベル(世界のともだち)』(偕成 社)、『撮らなくてもよかったのに写真』(テルメブックス)、絵本『ぐうたらとけちとぷー』(絵・ 横山寛多/偕成社)がある。