「どうぶつかいぎ展」は、エーリヒ・ケストナーの絵本『動物会議』(1949年)のお話しを8つの場面に分けて、8人のアーティストそれぞれが再解釈を加えて絵や立体、映像で作品を作り、リレー形式でできあがった現代版「動物会議」です。
ケストナーとトリアーが大切にしたユーモアとかわいらしさも忘れない、そんな8人のアーティストたちを紹介します。
梅津恭子(ぬいぐるみ作家)
「テディベア教室」に通ったことをきっかけに、Plum’sの屋号で20年以上ぬいぐるみの制作を続けています。
梅津さんは、作品を作るうえで、形と色合い、そして表情を大切にしています。作品を見るひとが表情を感じられるように、意図的に表情を作らないことを心がけています。
梅津恭子(うめづ・きょうこ)
ぬいぐるみ作家。1996年、代官山カドリーラボにてテディベアづくりを学ぶ。2010年、ビリケンギャラリーで初個展。2019年、TOBICHI 2にて「ぬいぐるみたちの里帰り展」開催。ARTS&SCIENCEやkippisなどでも展示販売を行う。7th日本テディベアコンテスト 日本テディベア協会賞、8th日本テディベアコンテスト カテゴリーC 銀賞受賞。リアルな部分とぬいぐるみだからこそ表現できる部分とのバランスを日々追求しながら、制作活動をつづけている。バランスを追求しながら制作活動を続ける。
plumskumakuma.wixsite.com/plums
秦直也(イラストレーター)
「動物のことを考えているときが幸せ」。とにかく動物が大好きで、10年以上、主に動物をモチーフとしたイラストレーションを制作しています。
鹿なら角、りすなら尻尾など、フォルムの擬人化はせず、なるべく動物のありのままの姿を借りながら感情や物語を伝えることを大事にしています。
秦直也(はた・なおや)
イラストレーター。1981年兵庫県生まれ。大阪芸術大学建築学科卒業。2011 年より、イラストレーションを描きはじめる。2011年に雑誌『イラストレーション』の「ザ・チョイス」入選。2013年、第11回TIS公募で銅賞受賞。書籍の装画や挿絵、CDジャケット、商品パッケージ、広告などを中心に活動。主に動物をモチーフとしたイラストレーションを制作している。
naoyahata.com
村田朋泰(アニメーション作家)
「忘れてはならないことを次の世代へ伝承していく」という思いで、学生時代からコマ撮りアニメを撮り続けています。
コマ撮りアニメの魅力は、ミニチュアセットの世界の中に人形が馴染んでいると感じたときに生まれる「空気」だと村田さんはいいます。何度も人形に触れて、少しずつ動かしていくなかで、今日はどんなふうに動いてくれるのだろうと思うとワクワクするそうです。
白の路 朱の路 藍の路
村田朋泰(むらた・ともやす)
アニメーション作家。1974年生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻伝達造形修了。2002年にコマ撮りアニメのアトリエTMCを立ち上げ、叙情的な作品を多数制作。人形アニメ「睡蓮の人」で文化庁メディア芸術祭優秀賞、「朱の路」で広島国際アニメーションフェスティバル優秀賞受賞。Mr.ChildrenのPV、NHKプチプチ・アニメ「森のレシオ」なども手がける。2021年よりコロナ禍の暮らしをテーマにした「春になったら/こぐまのユーゴ物語」を制作中。
tomoyasu.net
植田楽(造形作家)
6歳のころ、バットとボールを紙とセロハンテープで作って遊んだのをきっかけに、20年以上ずっと同じ制作方法で作品を作り続けています。
植田さんがつくる生き物たちは、紙とセロハンテープだけで作っているのに、リアルで力強く、愛嬌があります。
ステゴザウルス
植田楽(うえだ・ひらく)
造形作家。1993年京都生まれ。京都嵯峨美術大学現代アート領域専攻科卒業。6歳のときに紙とセロハンテープでボールとバットをつくったのをきっかけに、10歳から動物をつくりはじめる。以来、主に動物や恐竜をモチーフに制作をつづけている。2013年、BIT CUBEにて初個展「HIRAKU WORLD」を開催。ギャラリーiTohen、tsubode、恵文社一乗寺店などで展示を行う。2020年、誰かの生活の一部となった作品の写真集『おうちの動物たち』(さりげなく)を刊行。
ueda-hiraku.com
菱川勢一(映像作家)
ミュージックビデオやCMなど、さまざまなメディアで活躍しています。
作品を制作する上で、大切にしていることは「人を楽しませること」。人を楽しませることが、その人の周囲を喜ばせることになり、その喜びがさらに広がって、ひいては街全体が居心地のいい場所になると菱川さんはいいます。
菱川勢一(ひしかわ・せいいち)
映像作家、写真家、演出家、クリエイティブディレクター。1969年東京生まれ。ニューヨークを拠点に音楽番組や情報番組などの演出を担い、帰国後の1997年DRAWING AND MANUALの設立に参加。主な仕事にNHK大河ドラマ「功名が辻」「八重の桜」「坂の上の雲」、ソニー、ホンダ、資生堂などの企業ブランド映像など。NTTドコモの CM「森の木琴」は、国際的な賞を多数獲得。近年は『youth』『ハモニカ太陽』『新青春』など、監督として長編映画を手がけている。
seiichihishikawa.info
鴻池朋子(現代美術家)
絵画、彫刻など、さまざまな手法を駆使したインスタレーションで、芸術への問い直しを試みています。
美しさの価値基準が視覚情報優先になっているいま、視覚でも言葉でもない、人間が本来持っている別の感覚を発動させるような作品作りを続けています。
鴻池朋子(こうのいけ・ともこ)
現代美術家。1960年秋田県生まれ。さまざまなメディアを通して芸術の根源的な問い直しを試みている。2009 年個展「インタートラベラー 神話と遊ぶ人」(東京オペラシティアートギャラリー)、2016年個展「根源的暴力」(群馬県立近代美術館)にて芸術選奨文部科学大臣賞。2018年「Fur Story」(Leeds Arts University/イギリス)、2020年「ちゅうがえり」(アーティゾン美術館)にて毎日芸術賞。著書に『どうぶつのことば—根源的暴力をこえて』(羽鳥書店)などがある。
junaida(画家)
『Michi』『の』『怪物園』『街どろぼう』(すべて福音館書店)。近年立て続けに出版した絵本がいずれも話題となり、絵本作家としても大きな注目を集めています。
絵を描くときは、鑑賞者が物語を自由に想像できる「余白」と、暖かさと冷たさが半分ずつ存在するような「温度」を大切にしています。
『の』(2019年、福音館書店)©junaida 『怪物園』(2020年、福音館書店)©junaida
junaida(じゅないだ)
画家。1978年生まれ。京都在住。国内外の個展や展覧会で作品を発表する傍ら、絵本作家として注目を集める。また装画や広告の分野でも活躍。近著に、絵本『Michi』『の』『怪物園』『街どろぼう』(いずれも福音館書店)、画集『UNDARKNESS』(Hedgehog Books)などがある。2015年、ボローニャ国際絵本原画展入選。第53回造本装幀コンクール・日本書籍出版協会理事長賞(児童書・絵本部門)を『Michi』で、第54回同賞を『怪物園』で受賞。
junaida.com
ヨシタケシンスケ(絵本作家)
『りんごかもしれない』(2013年、ブロンズ新社)の刊行を皮切りに、絵本作家として人気を集めています。
絵本を描くときに一番気をつけていることは、「子どもの頃の自分が知りたかったことの答えになっているかどうか」なのだそうです。
ヨシタケシンスケ
絵本作家。1973年神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科修了。2013年『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)でデビューし、同作が第61回産経児童出版文化賞美術賞受賞。『りゆうがあります』(PHP研究所)『あんなに あんなに』(ポプラ社)などでMOE絵本屋さん大賞、『つまんない つまんない』(白泉社)の英語版『The Boring Book』で2019年ニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞受賞。2022年4月より初個展「ヨシタケシンスケ展かもしれない」を開催。
yoshitake-ten.exhibit.jp