「絵本★百貨展」の感想を聞きました!②

中村佳穂さん(音楽家)、原田郁子さん(クラムボン)、井上花月さん(Laura day romance)

PLAY! MUSEUMで開催中の企画展示「谷川俊太郎 絵本★百貨展」
展覧会を見たみなさんから、感想が届きました。

中村佳穂さん(音楽家)

中村佳穂さん

いまは
なりたいじぶんを
うまくきりとって
ほかのだれかに
みせてまわる時代だね

思うのは
にんげんは波があって
光ってるひもあれば
垢も出るし
取り繕うし
けっこうせこかったりする

谷川さんは
にほんごをつないで
きたなかったり
しょうもないことを
ひとりきりではなしてる
そんなきがしてる


ゆっくり
よめばよむほどに
こころのいちばん
ちかくとおっていく


くすぐったくて
いまはよくわかんなかったり
オロオロ
どうしようもなく
まぶしくて
ふるえたりする

ことばやかたちにしてもらえた
ものたちがうらやましいな!

原田郁子さん(クラムボン)

原田郁子さん

ようやく観にいくことができました。
出かける準備をして、バスに乗って、電車に乗って、
会場へ向かう道すがら、すでにわくわくしていました。

物心ついたときから、
谷川さんの絵本に触れて育った子供。
わたしもその一人です。

かっぱかっぱらった
かっぱらっぱかっぱらった
とってちってた

今でも母が節をつけて歌う声が聞こえてきそうで、
『あな』は何度ページをひらいたかわかりません。
(縦にめくるのが好きです)

知らない本もたくさんあって、
観ながら、その本が生まれたての頃、町の空気を想像しました。

谷川さんの本は、
ずっと前からある”スタンダード“
そんなふうに思っていたけれど、

その存在は、とっても異質で、
これまでのなにかを静かに塗りかえる、新しいエネルギーを放ちながら、
「ふへん」を体現していったのかもしれないな。

自分のなかにある違和感や、好奇心を大事にしながら、
抗ったり、寄り添ったりしながら、
たくさんの方と、一冊ずつ、つくりつづけてきたのかな。

『こっぷ』の展示で、
床に映ったまるい光がきれいで、覗きこんでいたら、
小さな女の子がよちよち、はいはいしながら何度も通りぬける。
光とじゃれるみたいに、あそんでる。
お母さんと、おばあちゃん(3世代でいらしていました)は追いかけたり、見守ったり。
すごくいい光景でした。

どんなことを感じてたんだろう。
まるい光、ふしぎだよね!

本からぬけだして、
空間と、あそぶ!

ことばを話す前の赤ちゃんから、
歳を重ねていったおじいちゃん、おばあちゃんまで、
その時その時で出会える、谷川さんの本がある。

そして
新作『ここはおうち』を
手にすることができる、いま!

数々の原画
みることができてよかったな。

トイレットペーパーは
もったいなくて使えないなぁ。

谷川さんの声
すばらしいなぁ。


しーーーん

にょきにょき

ぷぅーーーーーーーーーーーーーーー

ことばの奥深さ
イマジネイションのつばさ
たくさんたくさん
わたしたちに伝えてくれて
ありがとうございます。

図録も
すこしずつ
めくっています!

井上花月さん(Laura day romance)

井上花月さん

ふだんならば、言葉をよむとイメージが浮かび、絵を見ると言葉が出てくる気がします。
今回の展示では、ぜんぶが一気に目と耳に飛びこんできて、あたまの中でひとつにならないまま各々好きに踊っている、それを自分でもわからないまま楽しんでいるうちに時間が過ぎてゆきました。

漢字を使わずにつくられた作品たちは、立体的なものも平面にある文字も、わたしたちのからだの原始的な感覚と直感的にひもづいているよう。これは、まだ小さかった頃、絵本の意味が分かるよりも先に、書かれたひらがなを口に出してみることのおもしろさ、リズミカルな日本語のうつくしさとおかしさを感じていたときの感覚そのものだと思いました。

とくに好きだったのは『とき』の映像。大きくて親しみのある絵、うつり変わる時に鳴る風が吹いたときのような音にドキドキしました。後半、「わたし」がいま住んでいる家を描きつづけることで時を感じさせるやり方は、大好きだったシェル・シルヴァスタインの絵本「おおきな木」を読んだ時に感じていたのと同じような、人間のさみしさとやさしさ、ちいささを想いました。


『これはすいへいせん』の展示では、ページを進むごとに足されていく視点の移り変わりのなかに吸い込まれ、宇宙を感じました。この世のもので、なにかひとつでも繋がっていないものはないということを、ぱっとみて感じることができるデザインも魅力的でした。

一番足を止められたのは『まるのおうさま』の映像。色も内容も音もおもしろく、シュールでおしゃれ。ずっと眺めていたい映像でした。

わたしは会期の終わり頃に楽しませていただきましたが、生命力あふれる展示に我を忘れて見入ってしまい、もし叶うならもう一度あの空間に訪れたい。
PLAY! MUSEUMにもはじめて行きましたが、年齢性別問わずに誰もがくつろげる空間に、ほっとしながら楽しませていただきました。

TOPICS

企画展示「谷川俊太郎 絵本★百貨展」
「谷川さんが『にょき』と言った瞬間に、絵が動きだすのがおもしろい」
企画展示「谷川俊太郎 絵本★百貨展」
「谷川さんの言葉は、文字だけでなく伝わる音があって、そこまでが彼の言葉だと思いました」
「谷川さんは、相反することをひとつのものに表現していると感じました」
「俊太郎さんに『孤独を受け入れて、自分を愛でなさい』と、言ってもらった気がします」
「谷川さんが『とき』を絵本にしたら、どんなVR(バーチャルリアリティ)よりもVRでした」
子どもから大人まで誰もが楽しめるおもしろい展覧会
「谷川さんは、変化する自分をたのしんでいて、絵本ごとにチャレンジしていると感じました」
「谷川さんと粟津さんが絵本のなかでやろうとした、雰囲気をアニメーションに」
「谷川さんが、気持ちいいことばを追求した『ことばあそびうた』を、体感する展示に」
伊藤紺さん(歌人)、中江有里さん(俳優・作家・歌手)、文月悠光さん(詩人)