「谷川俊太郎 絵本★百貨展」 巡回情報
2023年9月9日(土)―11月26日(日)清須市はるひ美術館(愛知)
2024年4月27日(土)―6月16日(日)福岡アジア美術館(福岡)
2024年7月20日(土)―9月16日(月・祝)高松市美術館(香川)
2024年9月27日(金)―11月24日(日)周南市美術博物館(山口)
2025年1月18日(土)―4月6日(日)新潟県立万代島美術館(新潟)
2025年4月19日(土)―6月8日(日)いわき市立美術館(福島)
2025年7月5日(土)―9月1日(月)愛媛県美術館(愛媛)
2025年10月―12月 市立伊丹ミュージアム(兵庫)
*開催予定は変更されることがあります
*グッズのラインナップは巡回先により異なります。詳しくは巡回会場へお問い合わせください
*カフェメニューはPLAY! MUSEUM(東京・立川)のみの提供です
展覧会のたのしみかたがよくわかるムービー公開中!
「谷川俊太郎 絵本★百貨展」期間中の利用案内・チケット販売について
会期中は、当日券で入場できます。土日祝および混雑が予想される日は事前決済の日付指定券(オンラインチケット)を販売します。詳しくはこちら
2024年11月、92歳で亡くなった詩人の谷川俊太郎は1960年代以降、さまざまな絵描きや写真家と200冊にも及ぶ絵本を作ってきました。ことばあそび、世界のありようを認識する手がかり、ナンセンスの楽しみ。 そして生きることの面白さや大変さ、尊さ、死や戦争までをテーマに、今日も絵と言葉による表現に挑んでいます。 バラエティ豊かな絵本に共通するのは、読み手に対する谷川俊太郎の希望の眼差しです。展覧会は約20冊の絵本を取り上げ、多彩なクリエイターとともに、絵本の原画、絵や言葉が動き出す映像、朗読や音、巨大な絵巻や書き下ろしのインスタレーション作品などを展示します。絵本の世界から飛び出した、子どもから大人まで誰もが楽しめるおもしろい展覧会です。
1. 谷川俊太郎と絵本
1952年に『二十億光年の孤独』でデビューして以来、詩や翻訳、脚本など、言葉によるさまざまな作品を生み出している谷川氏。絵と言葉があわさった表現には早くから関心があり、1956年には自らの詩と写真で構成する第4詩集『絵本』を出版しています。絵本作りは1960年代後半から本格化し、和田誠、堀内誠一、長新太、元永定正、タイガー立石、大竹伸朗、皆川明、松本大洋、tupera tupera、Noritake、junaidaら、同時代のクリエイターとともにさまざまな絵本を作り出しました。今回の展覧会にあたり、谷川氏は以下のコメントを寄せています。
詩だけ書いてるんじゃつまらない、という気持ちがぼくには初めからありました。 もっと他のジャンルも試みてみたいと思っていて、ラジオドラマの台本や記録映画の脚本、歌の作詞など依頼があれば、詩だけでは食えないという現実的事情もあって、出来そうなジャンルには進んで手を出してきました。その中で最も自分に向いてると思ったのが絵本でした。 言葉だけの詩と違って絵や写真が伴うと世界が一挙に広がるし、具体的になる、そこに魅力を感じて絵は描けないけれど、まず何をどう扱うかという絵本のコンセプトを考えて、限られたページ数の中で各場面をどういうイメージで組み合わせるか、また言葉と絵や写真が一緒になることでどんな新しい世界が生まれるかなど、詩を発想するのとは次元の違う興奮がありました。 またぼくの場合絵本は独りでは創れない、常に他のアーティストとの共作になりますから、そこも思いがけない自分を発見するきっかけになりました。
2.「百貨展」と名付けたのは?
谷川氏の絵本の視覚表現は、イラストや絵画だけでなく写真やコラージュを用いるなど多種多様です。コンセプトや取り上げるテーマもさまざまです。『まるのおうさま』『こっぷ』など世界を知る手がかりとなる「認識絵本」、『ことばあそびうた』や『ぴよぴよ』のような「言葉あそび」や「オノマトペ 」、『もこもこもこ』などの「ナンセンス」。さらには『へいわとせんそう』をはじめとする「戦争」、『かないくん』や『ぼく』での「死」など、表現は縦横無尽に広がります。こうしたバラエティ豊かな絵本を紹介する場として、「百貨展」の名を付けました。
3.「百貨展」が注目する絵本
『絵本』写真・谷川俊太郎 的場書房 1956(2010復刊 澪標)
『まるのおうさま』絵・粟津潔 福音館書店 1971
『こっぷ』写真・今村昌昭 福音館書店 1972
『ぴよぴよ』絵・堀内誠一 ひかりのくに 1972 (2009 復刊 くもん出版)
『ことばあそびうた』絵・瀬川康男 福音館書店 1973
『とき』絵・太田大八 福音館書店 1973
『もこ もこもこ』絵・元永定正 文研出版 1977
『えをかく』絵・長新太 新進 1973 (1979 復刊 講談社)
『せんそうごっこ』絵・三輪滋 ばるん舎 1982 (2015 復刊 いそっぷ社)
『なおみ』写真・沢渡朔 福音館書店 1982
『うつくしい!』写真・塚原琢哉 日本ブリタニカ 1983
『ままですすきですすてきです』絵・タイガー立石 福音館書店1986
『おならうた』絵・飯野和好 絵本館 2006
『かないくん』絵・松本大洋 ほぼ日 2014
『これはすいへいせん』絵・tupera tupera 金の星社 2016
『へいわとせんそう』絵・Noritake ブロンズ新社 2019
『オサム』絵・あべ弘士 童話屋 2021
『ぼく』絵・合田里美 岩崎書店 2022
『ここはおうち』絵・junaida ブルーシープ 2023
和田誠との絵本あれこれ
4.「百貨展」のみどころ
★★絵本から飛び出した展示:原画の展示
「絵本★百貨展」でとりあげる約20冊の絵本のうち、原画を展示するのは7作品。PLAY! MUSEUMならではの、ひと工夫を施した鑑賞体験を紹介します。
約20冊の絵本を紹介するにあたっては、アートディレクター、映像作家、建築家ら多才なクリエイターが参加し、原画、朗読、アニメーション、インスタレーションなどさまざまな表現で展示します。そのほか会場では、車やトンネルなど「谷川さんがすきなもの」に唐突に遭遇する新作『すきのあいうえお』も発表。手元でページをめくる絵本の世界から飛び出した、子どもから大人まで誰もが楽しめるおもしろい展覧会です。
参加クリエイター
キュレーション・解説:林綾野(キュレーター)
アートディレクション:有山達也(アートディレクター)
空間構成:手塚貴晴(建築家)
『ことばあそびうた』『こっぷ』インスタレーション:柿木原政広(アートディレクター)
『まるのおうさま』のアニメーション:坂井治(映像作家)
『オサム』『おならうた』『これはすいへいせん』『ここはおうち』『ぴよぴよ』『ままです
すきです すてきです』展示デザイン:minna(アートディレクター/デザイナー)
『とき』のアニメーション:新井風愉(映像作家)
『なおみ』の朗読:神田京子(講談師)
『かないくん』『ぼく』、和田誠との絵本 展示デザイン:張替那麻(建築家)
『もこ もこもこ』部屋の映像:岡本香音(映像作家)
『すきのあいうえお』の写真:田附勝(写真家)
★★絵本から飛び出した展示:アニメーション、インスタレーション
展覧会全体の空間構成は、建築家の手塚貴晴が担当。約20冊の絵本から飛び出した、原画、立体物、 映像などの多種多様なコンテンツを「百貨店」のように見せながら、随所に谷川の好きなものを無秩序に配します。「意味があるより、おもしろく」。本展のテーマを体現するような会場を作り上げます。
展覧会によせて、谷川俊太郎さんからコメントが届きました。
全文はこちら
5.「百貨店」と「百貨典」と「おみやげ」
併設のPLAY! SHOPは展名をもじった「絵本★百貨店」に様変わりし、言葉を持ち帰る様々なオリジナルグッズが並びます。詩のポストカードや、詩のアクリルキーホルダーをはじめとする、 谷川俊太郎の言葉を生活の中で身近に感じることができるアイテムや、『もこ もこもこ』のピンズやシール、『まるのおうさま』のまるいおさらなど、絵本の言葉と絵を合わせて楽しめるユニークなアイテムが登場します。ワタナベケンイチ描き下ろしのイラストをあしらった特製ショッピ ングバッグなど、百貨店らしいおたのしみも用意しました。
そしてPLAY! MUSEUM恒例の来場者への「おみやげ」は、谷川の言葉入りトイレットペーパーです。トイレットペーパーは、これまで実現が叶わなかった谷川念願のグッズです。
6. CAFEとPARKも「おもしろい!」
併設のPLAY! CAFEでは「谷川俊太郎 絵本★百貨展」にふさわしい、バラエティ豊かなオリジナルフードやデザートを楽しめます。絵本『もこ もこもこ』の「もこもこ」がそのまま飛び出してきたようなカレーライスや、「ぼくこそまるのおうさまだ」と主張する『まるのおうさま』のハッシュドビーフやパフェが登場します。このほかにも、谷川の手がけた絵本をイメージした「おもしろい」期間限定メニューが多数揃います。
PLAY! MUSEUM上階の子どもの遊び場・PLAY! PARK(別料金)では、谷川の絵本の世界や文字を使ったワークショップを開催します。お気に入りのひらがなを一文字選んでモビールのようなおもちゃを作ってみたり、好きな形にビニールを切って「もこ もこもこ」と膨らませたり。言葉のおもしろさを声に出して、絵の楽しさを立体におこして形作って、全身を使いながら谷川の言葉と絵にふれるあそびの数々が登場します。
★展覧会関連イベントも!
(終了)6月17日(土)・18日(日)、7月1日(土)・2日(日)10:00-18:00
Traveling COWBOOKS in 立川 GREEN SPRINGS
東京の中目黒にある古書店「COW BOOKS」がPLAY! のあるGREEN SPRINGSへやってきます。トラックの荷台を本棚に改造したモビールには、谷川俊太郎の詩集や絵本や、たくさんの本が並びます。
*詳しくはこちら
(終了)5月13日㊏ 19:00開演
【PLAY! NIGHT】「谷川俊太郎 絵本★百貨展」関連イベント DiVaの音楽会「絵本はたのしい!」〜まるで絵本の世界を旅するようなDiVaの歌へようこそ〜」
ピアニストの谷川賢作さん率いる、谷川俊太郎さんの詩をうたうバンド 「DiVa」の音楽会を開催します。どなたでもくつろげるユニークな会場PLAY! PARK で、特別な夜をお楽しみください。
*詳しくはこちら
谷川俊太郎(たにかわ・しゅんたろう)
詩人。1931年東京生まれ。1952年第一詩集『二十億光年の孤独』を刊行。1962年「月火水木金土日の歌」で第四回日本レコード大賞作詩賞、1975年『マザー・グースのうた』で日本翻訳文化賞、1982年『日々の地図』で第三十四回読売文学賞、1993年『世間知ラズ』で第一回萩原朔太郎賞など受賞・著書多数。詩作のほか、絵本、エッセイ、翻訳、脚本、作詞など幅広く作品を発表している。
撮影:田附勝