PLAY! MUSEUMで開催中のjunaida展「IMAGINARIUM」(2022年10月8日(土)―2023年1月15日(日))では、junaida初の本格的なフィギュアが7種類登場しました。
今回は、精緻な仕上がりで注目を集める「怪物園 フィギュア」「街どろぼう フィギュア」がどのようにして作られたのか、ミュージアムグッズの開発・制作を手がけるコスモマーチャンダイズィングに聞きました。
ー平面の絵を立体化する過程や、ポイントを教えてください。
絵本では、絵柄は正面しか描かれていないため、他の絵柄を参考にして、上、下、横、裏を違和感なく表現することが必要です。全てのページから、雰囲気や手がかりを見つけ出し、描かれていない部分の造形を作り出していきます。
絵本に描かれた世界は二次元的なものであり、それを立体造形にするためには絵本の中から上下左右、裏側の情報を集め、どこから見ても矛盾や違和感がないよう滑らかにつないでいきます。
ー立体のデザインはどのように作られるのでしょうか?
立体的なデータにするために、コンピューターの支援設計ツール・3D CAD(キャド)を使って、粘土をこねるのと同じようにフィギュアの模型となるデータをパソコン上で組み上げていきます。360度、全ての方向からの立体的造形作業が自在に出来るので、この段階からより細やかな原型が作られていきます。
数年前までは、人の手で原型を作成していましたが、3D CADでの作成が主流になったことで、細かい造形が可能になり、よりリアルなフィギュア作りが可能になりました。
ー全体のイメージの決め手となるのは彩色だと思いますが、どのように着彩しているのでしょうか?
機械で行われているように思われがちですが、全て筆を使って、ひとつひとつ職人の手作業で彩色作業が行われます。「怪物園 フィギュア」の怪物たちも、毛並みやパターン模様を手作業で塗り分けているため、完成までに相応の時間がかかります。
ー「怪物園 フィギュア」がこの6体になった経緯を教えてください。
絵本の表紙にいる怪物たちから色やかたちの個性のバランスを見ながらjunaidaさんと本展担当の森田さん(ブルーシープ)で選定されました。表紙に隠れている「透明ちゃん」もファンには人気があるので是非入れたいということになりました。
ー「怪物園 フィギュア」の制作ポイントを教えてください。
カッコよさやかわいさで表現される一般的なキャラクターとは異なり、表情と目線に「無」を作り出すのが難しいポイントでした。また、一番大きい怪物は細かい毛並みの再現方法が難関でした。
ー細かなところまでディテールの調整が行われているのですね。
一番大きい怪物の目、手先、毛並みは、junaidaさんにイラストや練りけしで「こんな雰囲気」という参考の資料をお送りいただき、丁寧に修正しました。彩色は平面的な着彩ではなく、表情をつけて彩色しています。
junaidaさんが作った練りけしのイメージ資料 junaidaさんが作った練りけしのイメージ資料 junaidaさんのスケッチ
ー「街どろぼうフィギュア」の制作ポイントを教えてください。
「街どろぼう フィギュア」の原型で最も難しかった点は、小さなフィギュアで凝縮された「街」という物体のずっしりした重量感とスケール感を再現することです。同時に巨人と街のバランスが破綻しないよう、絵本では描かれていない造形部分もjunaidaさんに確認を取りながら進めていきました。
ーバランスもさることながら、色もきれいに再現されていますね。
彩色もjunaidaさんの繊細な世界観にあわせ、絵本通りの色味を忠実に再現しました。「街どろぼう フィギュア」には、細かい窓を含め、たくさんの色が存在します。その都度、絵本を確認して色を調合し彩色するので、数人の職人たちの手で分業し、2、3日かけて制作しています。特に表情がある顔は全体のイメージにつながる大事な部分なので、より多くの時間を要しています。
ーたくさんの時間と手間をかけて作られているのですね。
いまにも動き出しそうな迫力のあるフィギュアが出来たのは、このようにたくさんの時間がかけられているからこそです。機械だけでは絶対に作ることのできないクオリティに仕上がっているので、360度じっくり観察してみてください。
最新の技術と職人の細やかな手作業によって作り出されている7体のフィギュアは、精密なフィギュアなどを手がけるベネリックが制作しました。junaidaならではの精密さと繊細さ、世界観がひとつひとつに詰め込まれているフィギュアをぜひ楽しんでください。
「怪物園 フィギュア」「街どろぼう フィギュア」はPLAY! SHOP店頭のみの完全予約販売です。詳細はこちら