オリジナルグッズ「Kiwanda × junaida ソックス」制作裏話

企画展示 junaida展「IMAGINARIUM」

PLAY! MUSEUMで開催中のjunaida展「IMAGINARIUM」(2022年10月8日(土)―2023年1月15日(日))には、junaidaの世界観を詰めこんだオリジナルのミュージアムグッズが勢揃いしています。

その中でも、真摯な物づくりを続けるブランドとのコラボレーションアイテムは一層の魅力を放っています。
今回は、印象的なデザインのソックスを展開しているKiwanda(キワンダ)とのコラボソックスを紹介します。デザイナーのチエコさんに、コラボソックスの制作について語っていただきました。

――初めてご覧になられた時のjunaidaさんの作品の印象はいかがでしたか?

一番驚いたのはすごく小さくて細かくて、どうやって描いているのだろう?と思いました。小さく描かれている人にも表情がちゃんとあって驚きました。画集など、本で見ていると原画がそこまで小さいものだと思わなかったです。ある程度大きく描いたものが、本になる際に小さく印刷されているのかと思っていました。そして何よりも色彩が綺麗なことが印象的でした。

――展覧会のメインビジュアルもすごく細かく描かれているんです。

独特な世界観ですよね。「あの世界はどこからアイディアが出てきているのかな?」と気になったので、ご本人にもお会いした際に聞いたのですが、「なんとなく」とお答えになられたことも印象的でした。

絵柄選びとアイディア

――靴下を作るにあたってどうしてこの2つの作品を選んだのでしょうか。

絵本や画集など出品作品の資料を貸していただいて、好きなものを提案して欲しいと言っていただけたので、その通りに選ばせていただきました。メインビジュアルの女の子と帽子のお花が印象的だったので、junaidaさんの描くお花を靴下に落とし込んでみようと思い、『UNDARKNESS』(Hedgehog books)からFLOWERを抽出ました。

もう一つのLOVER’S EYEは、junaidaさんのファンだったら、デフォルメやアレンジがあまりされていない、 [これぞjunaidaの世界観] が表現されていた方が良いかなと思い、『EDNE』(白泉社)から印象的だった目のモチーフを選びました。他にはない仕上がりになりそうだと感じたところもポイントです。

――ストーリーのある作品をソックスに落とし込む際に工夫されていることはありますか。

原画のある作品から靴下を作るのは初めてでした。ファンなら気が付くモチーフであったり、喜んでもらえる要素を選びつつ、履きやすさも意識しています。

――まさにFLOWERはそうですよね。

はい、実はこの絵のこの花だったのか!と気づいてもらえたら嬉しいです。

――絵柄が後ろに入っていたり、透け感のある素材が使われていたりと、個性的なデザインになっています。デザインのバランス感はどのようにして決まっていくのでしょうか。

パッと思いつきます!ある程度決まった後から、こっちだったらどうだろう?などジャッジはしますが、でも、一番初めの直感で、この柄だったらここにこうだな!と思いついたアイディアで進めます。

――透け感など素材選びも直感ですか?

面でベタっとしているよりも少し透けて、そこから花が浮き上がる方が大人の女性も履ける靴下になるので、履く人を想像して素材を選んでいます。

――Kiwanda(キワンダ)といえば、透けた靴下というイメージがありますよね。

ブランドのスタート時点から、透ける素材を使っています。当時は他でほとんどなかったのもあり、ブランドのイメージにつながっていると思います。

コラボソックスが作られるまで

――スケッチから完成まで、どのような流れで形にしていくのですか。

靴下は柄の大きさがすごく重要なので、スケッチは実物大で描いています。柄の大きさが程よくないと品が無くなったり、可愛くなくなったりしてしまいます。

――実物大というのが大事なのですね。

大事!すごく大事です!例えば、ドットなどは分かりやすくて、大きさが違うとポップになったり、大人っぽくなったり変化しますね。いつもイメージに合った大きさを模索するために実物大で描いています。

――スケッチの後は?

今回は原画があったので、スケッチはそこまで書き込むことはなく、イメージはラフで描いて、その後フォトショップで編み地を描きました。編み地は四角の粒のビットをひとつひとつ色をつけて描いていきます。

私たちのソックスの特徴はハイゲージの編み機を使っていることです。1周240本の編み目があって柄が作られていきます。機械なので制約があり、給糸口の数によって色数が限られたりする中で、パズルのように組み合わせて、原画に近づけるように柄を作っていきます。

――原画がある場合に、その制約の中で柄を作るのは難しいですか?

そうですね、難しいです。LOVER’S EYEは少しだけ目の位置を下げたりなどの微調整をしました。junaidaさんの絵は細かいので、ソックスで出来ることの限界がありますが、その中でも出来る限りの再現度を目指しました。

最後までこだわる

――最後まで色味の調整などがあったと思いますが、このコラボソックスならではのこだわりポイントとなる部分を教えてください。

いつも色にはこだわりがあります。やはり身に付けるものなので、馴染みの良さや、品の良さ、派手だけど合わせやすい色選びに気をつけています。あとは、原画があるものは、紙の上の絵みたいには再現はできないので、なるべく印象を近づけるように気をつけます。

――それでは、カラーバリエーションのご提案はチエコさんからですか?

レッドやグリーンの色を入れて欲しいとjunaidaさんからのご希望があったので、FLOWERは赤、LOVER’S EYEは緑にしました。それぞれの色味を選んだ基準は、LOVER’S EYEにあるお花が赤かったので、グリーンにした方が柄を綺麗に見せられるからです。

――どちらもビビッドではなく、深みのあるカラーですよね。

そうですね。junaidaさんの絵を見ていてそういったイメージがあったので、ソックスも同じようにしました。

原画は黒い背景に描かれた目の絵だったので、その印象を崩すような鮮やかな色を使うというのは候補にはなかったです。モノトーンの原画の印象をそのままに表現することにしました。

――色味が落ち着いているので、どんな年齢層の方々にも履いていただけそうですよね。

はい。グッズでおさまりたくないソックスだったのです!

――最後に、junaidaさんとの商品作りで印象的だったことはありますか。

グリーンの色味を調整する際にも、イメージに合う色味をパントーンで出してくださったのですが、具体的にイメージがある方だなという印象です。junaidaさんの中にはきっと明確なゴールがあるので、色々とスムーズに決まっていきましたね。

デザイナ ー木内知恵子氏が手がけるファッションブランド。 “Kiwanda”とは、スワヒリ語で工房を意味しており、“アイデアが形になる場所”という想いを込めている。2016年にオ ープンしたフラッグシップショップ「KiwandaKiwanda」では、古き良き時代のノスタルジックな女性と、現代を強く楽しく生きる女性をイメ ー ジしたアイテムを展開。独特な色と柄で生み出すデザインが印象的で、自分のスタイルを持ち、自分らしくありたいと考える、すべての人々のためにデザインしている。
https://kiwandakiwanda.com/collections/socks

TOPICS

「今僕ができる最上のものができた。」
募集期間:2022年11月14日(月)ー2023年1月15日(日)
2022年10月8日(土)―2023年1月15日(日)
「絵をじっと見て、その絵の中のものになりきってみる。」
「不気味でかわいい、怪物たちの世界に入り込む」
「普段のPLAY! MUSEUMとは違う空間体験を楽しんでもらえたら」
光も闇も引き連れて 絵筆に灯る 想像と空想
企画展示 junaida展「IMAGINARIUM」